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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「グランジ的なヨレたギターサウンド」「ジャジーな音色と展開」「ストリングスの大胆な導入」などこれまで以上に新たな要素を取り入れた作品。J-POP的な曲はシングルカットされた「7 love me, I love you」位でありアナログな質感の音が多いという印象。

新機軸にトライした作品ではあるがビーズ(B’z)独自の「ハードなポップネス」は今作も健在サビのボーカルラインは大河のようなスケールの大さが特徴であり特に「13 drive to MY WORLD」のボーカルラインは特筆。音楽的な挑戦を試みながらもビーズ(B’z)のオリジナルアルバムの中で最も売れた(300万枚)作品である

    「要点」

  • 「ハードさ」と「POPさ」が理想的なバランス
  • グランジ的なヨレた質感とジャジーな要素が新鮮
  • 音楽的にもセールス的にも最高レベル

「曲解説」

1 spirit loose

90年代以降のUSギターロックの壊れた質感を少し取り入れたラフなギターカッティングが印象的。「壊れたラジオ」のように掠れた稲葉浩志(vo)のシャウトはUSグランジの代表格サウンドガーデン(Soundgarden)にも全く劣らない迫力がある。
2 ザ・ルーズ

うねるベースラインとグルグルと目が回るようなギターリフが絡みつくイントロではじまり、ダルっとしたルーズな雰囲気と晴天のようなホーンセクションが同居している曲。90年代USギターロック的な質感を取り入れつつもポップネスは失われておらず、また稲葉浩志(vo)の過去の経験からくる「独り言風の語り」もどこかコミカル。ギターソロの余韻を残すハウリングが止むと(2:33〜)エフェクトが掛かった声で展開される独特なラップが聴ける。
3 ねがい

異国感を醸し出すリズミカルなパーカッション、教会の窓から差し込む光のようなキーボード(オルガンかも)とミニマムなコードカッティングを中心に展開されるジャジーな曲。キャッチーなサビのボーカルラインの裏ではやはりここでも「晴天のように明るい」ホーンセクションが鳴り響く(3:00〜)サビの後にベースとピアノだけのジャジーな展開となりその後、ギターソロが鳴り響く。歌詞の内容は迷路に迷い込んだ主人公が神様に願いを叶えてくれと懇願するという内容だが、神様に対してその言い方はないだろとツッコミどころ満載。
5 BAD COMMUNICATION

ミニマムなベースリフとフラメンコ調のギターフレーズが印象的でデジタルダンステイストだった原曲を70年代ハードロック風にアレンジしている(3:53〜) 「BAD COMMUNICATION!」というボーカルラインの後から、リズムが激しさを増していく展開となりハーモニカソロも登場。最後はそのまま激しさを増し熱量マックスのところで終わる。
7 love me, I love you

本作で最もポップな曲。派手でゴージャースなホーンセクションが鳴り響きギターは疾走感を助長するプレイに専念(2:02〜)これまでの弾けたポップソングとは対照的な泣きの早弾きギターソロが聴ける。「人の心は弱いし足りないところもある」と認めつつも「消去法」や「人頼みではダメ」という解決策をリスナーに提案する歌詞が秀逸で「悩みやうまくいかない要因に対して解決策を歌う」ここが彼らがメガヒットを連発した背景のの一つなのかもしれないと妙に納得。
8  LOVE PHANTOM

イントロは壮大なオペラ調のストリングスが緊張した空気感を作り、そこに乱反射する光のようなキラキラした電子音と重低音を強調したベースと唸るギターサウンドが絡みあう冒頭。男性コーラスが「LOVE PHANTOM」というタイトルワードを言った後は、いきなりサビのボーカルラインから突入するというインパクト大の曲。 よく聴いてみると重低音が効いたシンセポップがベースとなっており、そこにストリングスやキラキラした電子音、歪んだギターサウンドが鳴っている。「クネクネと動くヘビ」のように空間を動き回る松本 孝弘(g)のギターは過去最高の暴れっぷり(4:02〜)オペラ歌手の優雅なコーラスが曲をより壮大な雰囲気にして最後は優雅なコーラスコーラスと伸びやかギターが絡み合い終わる。
10 砂の花びら

ずっしりとしたベースラインとオリエンタルな雰囲気のするギターサウンドが特徴。叙情的なサビのボーカルラインの裏ではゴスペル風のコーラスが稲葉浩志(vo)本人によって歌われている。曲自体はシンセやキーボードは入っておらずアナログな質感だが、オリエンタルな空気感やゴスペル風のコーラスなど新機軸にトライした曲。
12 BIG

アグレッシヴなアコギのコードストロークが終始鳴り響き、その上を少しコミカルな世界観の歌詞を歌うボーカルラインが乗る。端的に表現するとゆずの曲をB’zがアレンジして演奏したような質感の曲で歌詞の内容はBIGになりたい男の日常について。
13 drive to MY WORLD

「アーバンな雰囲気」と「乾いた砂漠のような雰囲気」が混在した曲でシンプルなバンドサウンドが非常にダイナミックに鳴り響く。サビのボーカルラインは非常にフックがあり、唸りを上げるギターと絡むことでさらにスケールを増す。最後は叙情的で焼け付くようなギターソロが鳴り響きそのままフェイドアウトする。

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