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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果75件

タグ「J-ロック」のレビュー

「図鑑」と言う知的な匂いのするタイトル、前作「さよならストレンジャー」でも垣間見れた音楽的な造形の深さから聴く前は「プログレ」的な難解なものを予想していたのだが、その予想は半分は正解で半分は不正解であった。

収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが自然と耳に入ってくる不思議なポップさがあり、本作「 図鑑」は前作以上に様々な音楽的からの影響を曲に反映している。中でもUSオルタナ・アーティストに近い響きの「混沌としたコード進行」「ポストロック的なクールネス」は本作の鍵であり共同プロデューサーに元ソニック・ユース(Sonic Youth)のジム・オルークを招いているのは賢明な判断であると言えるだろう。

「混沌としたくるり流オルタナ」ゼロ7(Zero7)やシステム7 (System7)などの音響系アーティストを彷彿とさせる「5 惑星づくり」ピアノの弾き語りである「8 ピアノガール」etcを収録しており、バリエーションに富んだ内容となっている。

普通、様々なタイプの曲を収録したアルバムというのは「アルバムの世界観」という観点で言うと整合性に欠けるケースが多いのだが、 本作はアルバムジャケットに映っている「海辺」のような「開放感とメランコリックが混ざった」空気感をアルバムを通して感じる事ができる。

    「要点」

  • ・USオルタナ・アーティストに近い響きの「混沌としたコード進行」「ポストロック的なクールネス」は本作の鍵。
  • ・収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが、自然と耳に入ってくる不思議なポップさがある。

「曲解説」

2 マーチ

手数の多い「バタバタ」としたドラムと「渦巻き」のような歪んだギターサウンドを中心に構成されるオルタナパートと「気怠い重力空間」のような静パートを行ったり来たりする「一筋縄ではない、くるりらしい」難解なギターロック。
3 青い空 <アルバムMIX>

ソニック・ユース(Sonic Youth)やダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)などのUSオルタナ・アーティストを彷彿とさせるコード進行が「混沌」とした空気感を醸し出している曲(2:08〜2:33)「気怠い曇り空の隙間から差し込む日差し」のような煌びやかなコードストロークが登場。この箇所のみタイトルである「青い空」を感じる事ができる。
4 ミレニアム

「不思議な重力を感じる空間で鳴らされるポストロック」という趣の曲。歌詞の内容は様々な「5秒前」のことを切り取り歌っているが、正直あまり意味が分からない内容となっている。
5 惑星づくり

ゼロ7(Zero7)やシステム7 (System7)などの音響系アーティストを彷彿とさせる「浮遊感溢れるスペーシーな音響」が心地よいインストで彼らの音楽的な造詣の深さ・間口の広さを象徴する1曲である。
6 窓

物悲しいアルペジオを中心に展開されるギターロックだが、どこか「昔のプログレ」のような雰囲気を感じる不思議な質感の曲。同世代の日本のロック・アーティスト達にはない「古風な個性」を感じる事ができる。終盤は「叙情派ヘヴィメタル」のようなハモリギターソロが炸裂するというまさかの展開。
11 街

サビで聴く事ができる岸田繁(vo ,g)のエモーショナルな歌声が曲に緊張感を与えている曲で、くるり独自の「一筋縄ではいかないマニアックさ」を感じる。この曲はポジティヴな意味で音から感情の置きどころを中々見つけることができない。
14 ガロン <ガロ~ンMIX>

スーパーカー(SUPERCAR)のコンポーザーであるナカコーこと中村 弘二がremixを手がけており、本作「図鑑」と同年(2000年)にリリースされたスーパーカー(SUPERCAR)の名盤「フューチュラマ」(Futurama)と共通する「スペーシーな音響」を全面に押し出したアレンジとなっている。終盤は浮遊感溢れる宇宙空間の中で鋭角的なブレイクビーツが鳴り響く展開となる。

「図鑑」と言う知的な匂いのするタイトル、前作「さよならストレンジャー」でも垣間見れた音楽的な造形の深さから聴く前は「プログレ」的な難解なものを予想していたのだが、その予想は半分は正解で半分は不正解であった。 収録されている多くの曲が「一筋縄ではいかない展開」となっているのだが自然と耳に入ってくる不思議なポップさがあり、本作「 図鑑」は前作以上に様々な音楽的からの影響を曲に反映している。中でもUSオ

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90年代末に「これまでの日本のロックアーティストとは明らかに異なる価値観・音楽的なバックグラウンドを持つアーティスト達」が多く登場したが、その中でもとりわけ音楽に対する造詣の深さを感じさせたのが、このくるりであった。

本作はそんな彼らのデビューアルバムなのだが、デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容となっている。

本作のサウンドのベースとなっているのは、ざっくり言うと90年代オルタナ・UKロックなのだが、そこに、くるり独自のゆったりした雰囲気を見事に反映させデビュー作でありながら確固たる個性を確立している。

また歌詞の内容もポジティヴな意味で「昭和文学」のような質感のものが多く知性を感じさせる。

    「要点」

  • ・デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容。
  • ・歌詞の内容もポジティヴな意味で「昭和文学」のような質感のものが多く知性を感じさせる。

「曲解説」

1 ランチ

若手アーティストのデビューアルバムの1曲目とは思えない哀愁がなんとも言えない曲。歌詞はタイトル通りカップルのランチタイムの一コマを切り取ったもの。「珈琲は冷めてしまったよ」というフレーズは「2人の関係性」を遠回しに表現しているだろう。
2 虹

90年代UKロック風サウンドに「くるりらしいゆったりとした空気感」を反映させたギターロック。歌詞は昭和の文学者が書いたような質感であり、サビの歌詞に「六地蔵」なるワードも登場する。
3 オールドタイマー

オルタナなコード進行が印象的なパンク調の曲で少しだけナンバーガール(NUMBER GIRL)風である。歌詞の内容は「電車」をテーマにしたものであり、終盤はタイトルである「オールドタイマー」というフレーズが鬼のように連呼される。
4 さよならストレンジャー

音響系アーティストのような透明感あるアコースティックギターの響きを活かした曲で、歌詞は高校時代の岸田繁(vo ,g)の事を歌っている(wiki)らしいが、歌詞を読む限り様々な解釈が可能な難解なものとなっている。筆者の見解としては「テレビの中から飛び出していった」というフレーズは「家でテレビゲームばかりしていた過去の日常」の事を指しており「内気で行動力のなかった過去の自分」との決別を歌っているのでは?!と思われる。
6 東京 ~アルバムミックス

「2 虹」同様に若手アーティストらしからぬ「ゆったりした空気感」が魅力の初期の代表曲。歌詞は東京に出てきた若者が「故郷にいる好きな女の子」のことを思い出し「色々話したい、電話したい!」という衝動に駆られるという内容(3:20〜)唐突なギターのブラッシングノイズが登場、このパートはレディオヘッド(Radiohead)の名曲「Creep」に対するオマージュであろう。
7 トランスファー

マイナー調のアルペジオを中心に展開されるヴァースと歪んだサビの対比がグランジっぽい曲なのだが、音数は非常に少なく「ロック的な破壊衝動」とは無縁な渋さがある。
11 傘

「ポストロックのような緻密さを感じる静のパート」から「オールドスクールなハードロック調のサビ」へ移行する展開がインパクト大の曲。終盤は60年代サイケを思わせる夢見心地な雰囲気が強調される。

90年代末に「これまでの日本のロックアーティストとは明らかに異なる価値観・音楽的なバックグラウンドを持つアーティスト達」が多く登場したが、その中でもとりわけ音楽に対する造詣の深さを感じさせたのが、このくるりであった。 本作はそんな彼らのデビューアルバムなのだが、デビュー作品とは思えない渋さと哀愁を感じさせる内容となっている。 本作のサウンドのベースとなっているのは、ざっくり言うと90年代オルタナ・

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「1 プラネタリウム」
「プラネタリウム」というタイトルにピッタリな透明感を感じるサウンドをバックに藤原基央(vo)が「少年時代の何気ない思い出をストーリー化した歌詞」を歌い上げるバンプクラシック。「何気ない思い出を音楽化・ストリー化するという才能」に関しては、藤原基央は日本の音楽シーンの中でも飛び抜けた才能を持っている。星をテーマにした作詞は名曲「天体観測」以来ではないだろうか?!

歌詞に「四畳半」という色んな意味でドメスティックなワードが登場するが、文学的な表現が素晴らしく「夜空」のようなスケールを感じる事ができる。歌詞はおそらくではあるが「星」と「好きな女の子」を重ね合わせて表現しているのだろう。

触れることはできないと思っていた星に案外容易く触れてしまった時の主人公の落胆にはなんとなく共感できる。

「2 銀河鉄道」
アコースティックギターと藤原基央(vo)の物悲しいボーカルを中心に構成される曲。歌詞は「車輪の唄」とリンクするような内容となっている。歌詞に登場する「時速200km」というワードからおそらくではあるが、新幹線に乗った移動の時に起こった出来事や感じた事を歌詞のテーマにしているのだろう。

何気ない出来事の中で感じる心の些細な揺れを拾い集めた歌詞は「小説」のように繊細である。止まったままでも新幹線に乗れば「時速200km」で新しい街に近くが、それは同時に死に近づくという事でもある。

時間の大切さを説いた内容の歌詞ではないのだが、思わず「ハッ」とさせられる。

    「要点」

  • ・「1 プラネタリウム」・・・歌詞に「四畳半」という色んな意味でドメスティックなワードが登場するが、 文学的な表現が素晴らしく「夜空」のようなスケールを感じる
  • ・「2 銀河鉄道」・・・歌詞に登場する「時速200km」というワードからおそらくではあるが、 新幹線に乗った移動の時に起こった出来事や感じたことを歌っていると思われる。

「1 プラネタリウム」 「プラネタリウム」というタイトルにピッタリな透明感を感じるサウンドをバックに藤原基央(vo)が「少年時代の何気ない思い出をストーリー化した歌詞」を歌い上げるバンプクラシック。「何気ない思い出を音楽化・ストリー化するという才能」に関しては、藤原基央は日本の音楽シーンの中でも飛び抜けた才能を持っている。星をテーマにした作詞は名曲「天体観測」以来ではないだろうか?! 歌詞に「四畳

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「1 ロストマン」
これまでにはないデリケートな音響処理を施したサウンドが印象的なシングル曲。歌詞はバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)らしく「考えさせられる内容」となっており端的に言うと「自分のこれまでの人生を振り返ったディープな自問自答」というところだろう。

多くの人の人生がそうであるようにこの曲の歌詞の主人公の人生の分岐点にも「大事な君」が存在しており「君を失ったことに気づいた今が現在地である」と歌っているが、そこはやはりバンプらしく「この現在地は自分自身が選んだもの」という意思の強さが存在する。

他のレビューでも書いたかもしれないが、バンプの歌詞に登場する主人公は内省的でメランコリックな心情に浸っても決して「大人」や「世間」や「君」のせいにはせず「自責思考を貫き」ポジティブなエネルギーを歌にして解き放つ。この点がバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)の音楽(とりわけ詞の世界)が多くの人に支持される理由なのであろう。

「2 sailing day」
人気漫画「ワンピース」の映画主題歌となった曲でBPMより遥かに早いスピードを感じるアグレッシヴなギターロック。「光の洪水」のような電子音が時折差し込まれ曲に色彩を与えている。

歌詞の内容は漫画「ワンピース」をしっかりと読んだ上で書かれたものであると思われ、決して小難しい言葉などは出てこないのだがリスナーに元気と明るい光と元気を届けてくれるものとなっている。「1 ロストマン」が様々な解釈が可能なディープな内容となっていた為、 B面にシンプルでアグレッシヴなこの曲を配置するのは素晴らしいバランスであると思う。

この曲が放つポジティヴな意味での「明るさ」は同世代ギターロック・アーティストが放つ「ある種の気難しさ」とは全く無縁である。

    「要点」

  • ・「1 ロストマン」・・・「君を失ったことに気づいた今が現在地である」と歌っているが、そこはやはりバンプらしく「この現在地は自分自身が選んだもの」という意思の強さが存在する。
  • ・「2 sailing day」・・・この曲が放つポジティヴな意味での「明るさ」は同世代ギターロック・アーティストが 放つ「ある種の気難しさ」とは全く無縁である。

「1 ロストマン」 これまでにはないデリケートな音響処理を施したサウンドが印象的なシングル曲。歌詞はバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)らしく「考えさせられる内容」となっており端的に言うと「自分のこれまでの人生を振り返ったディープな自問自答」というところだろう。 多くの人の人生がそうであるようにこの曲の歌詞の主人公の人生の分岐点にも「大事な君」が存在しており「君を失ったことに気づ

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「人間の暗部」や「ある種の残酷さ」をテーマにしている歌詞が印象的な曲(3 乗車権 、4 ギルド)とストーリー仕立てでリスナーに熱いエールを送るバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)らしいギターロックが同居している4thアルバム。

オリコン初登場1位をマークし「新世代のギターロック・アーティスト」の代表に上り詰めた記念すべき作品。前作「jupiter」でも才能を遺憾無く発揮していた藤原基央(vo)のソングライティングがさらなる進化・深化を見せており、まさに「神の域」となっている。

シリアスでダークな表現を好む同世代ギターロック・アーティストを意識したかのような「3 乗車権」の歌詞は特に秀逸で聴く年齢やその時の心境によって様々な解釈が可能であると思う。また「8 車輪の唄」では、まるで「名作小説」のように「登場人物の繊細な心情」を描ききっている。

藤原基央(vo)の才能をロックバンドのシンガーだけにとどめておくのは、非常に勿体無いと感じる。

    「要点」

  • ・藤原基央(vo)のソングライティングはさらなる進化・深化を見せており、まさに「神の域」。
  • ・「8 車輪の唄」では、まるで「名作小説」のように「登場人物の繊細な心情」を描ききっている。

「曲解説」

2 オンリー ロンリー グローリー

バンプらしい疾走感ある軽快なサウンドに乗せて熱量のある素晴らしいメッセージをリスナーに届けるギターロック。歌詞の内容は「特別ではない世の中の大多数の人間」に対して「自分らしく歩めば何かしらの光を掴むことができる」とエールを送るというイメージである。また歌詞の中では過去に「目を隠したり」「耳を塞いだり」したのも全て自分自身であると自責している。「人生を前向きに自分らしく生きる為のスタートライン」は、他責思考を捨て自責思考に切り替えた時なのかもしれない。
3 乗車権

これまでのバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)にはないダークさを前面に押し出した異色曲で「バンプファンではないロックファン」からの評価が高い。強く望むものがないにも関わらず「偽りの夢・願望」で夢を持つ者たちに紛れようとした主人公の虚無的な感情を歌っており、どこかシロップ16g(syrup16g) 風。
4 ギルド

「3 乗車権」同様に「人間の暗部」にスポットを当てた歌詞がインパクト大のエモーショナルチューン。人生や生活に疲れてしまった主人公による一人語り風のボーカルが凄まじく、正直サウンドはそこまで頭に入ってこない。ネガティヴィティを肯定して受け入れることで、精神が「スッ」と楽になる事もある。そんなイメージの歌詞となっている。
7 同じドアをくぐれたら

渋くコクのサウンドが藤原基央(vo)のエモーショナルなボーカルを支えるスローテンポのバラード。歌詞は大事なものが下に下がる「天秤」をテーマにして作成されたもの(wiki)で考えさせられる内容となっている。おそらくではあるが、失恋の時に感じる感情を歌っていると思われる。綺麗ごと抜きで「全ての物事が天秤にかけられ」その中で人は全てを選択しているのだ。
8 車輪の唄

メロウで軽快なサウンドが「楽しい夏休み」を連想するギターポップ。歌詞は「大事な人との別れ」をテーマにしており「繊細な心情の変化や細部まで描ききっている歌詞」はまるで「名作小説」のようである。この1曲だけで藤原基央(vo)というシンガーが破格の才能を持っている事がよく分かる。
9 スノースマイル

冬の寒さを100%ポジティヴにとらえた雪をテーマにしたラブソング。同世代のギターロック・アーティストが絶対に避けそうな色んな意味での「甘さ」を前面に押し出しており「笑顔」という非ロックワードも登場。バンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)とりわけ 藤原基央(vo)というアーティストは「ロックをやりたい」のではなく「人の心を動かしたい」という欲求が第一にくるアーティストなのであろう。そんな気がする。

「人間の暗部」や「ある種の残酷さ」をテーマにしている歌詞が印象的な曲(3 乗車権 、4 ギルド)とストーリー仕立てでリスナーに熱いエールを送るバンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)らしいギターロックが同居している4thアルバム。 オリコン初登場1位をマークし「新世代のギターロック・アーティスト」の代表に上り詰めた記念すべき作品。前作「jupiter」でも才能を遺憾無く発揮していた藤

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