検索画面を消す
検索画面を消す
live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果8件

タグ「アシッドハウス」のレビュー

日本の音楽シーンにおいてバクチク(BUCK-TICK)と共に「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット/ソフトバレエ(SOFT BALLET)のデビューアルバム。

ほとんど全ての曲に「立体的」「凸凹」と形容したくなる潤ったビートを導入しており「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じるというタイプの曲が多い。本作を聴く限りではこのソフトバレエ(SOFT BALLET)というユニットはハナから「ダークでダンサブルなボディ・ミュージックをやる」為に結成されたのでは感じる。それ位に全ての曲に統一された空気感がある。また多くの曲でアシッドハウス的な音響を導入しており曲に躍動感を与えている。アシッドハウス・ムーブメントがソングライターである藤井麻輝・森岡賢に与えた影響は決して少なくないであろう。

コンセプトが明確である種「カチッ」としたサウンドとは反対に遠藤遼一(vo)のボーカルはある時は「ラッドテイストな野太い声」であり、またある時は「ねっとりとしたナルシズムを感じるもの」となっており良い意味で自由気ままな印象を受ける。

    「要点」

  • ・「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット
  • ・「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じる

「曲解説」

1 BODY TO BODY

神秘的な音響と立体的なダンスビート、「金属」を叩いたようなインダストリアの響きが印象的なヒットシングル。ダークなサウンドとは裏腹に遠藤遼一(vo)のボーカルはラッドテイストな野太い声となっている。「デュリーダン、デュリーダン」と聴こえるファンキーなコーラスはインパクト大(2:08〜)アシッドハウスを思わせる潤った音響に包まれ「鳥の鳴き声にエフェクトをかけた」ような電子音が存在感を放つ。
2 HOLOGRAM ROSE

「激しい雨」のようなドラムサウンドの上にイマジネーション豊かなカラフルな電子音が踊る激しいエレクトロポップ。この曲でもアシッドハウスを思われる「スライム」のようなビートが曲に躍動感と潤いを与えている。
3 WITH YOU

「カメラのシャッター」を思わせる効果音がリフレインされ「地下室」のような不穏な空気が濃厚に漂う曲。終盤は「不穏な空気」と「享楽的でカラフルな音響」が混ざり合う展開となっている。時折「ビーム」のようなギターサウンドが挿入される。
5 KO・KA・GE・NI

「テクノポップ」のような東洋音階と「空を舞う」ような浮遊感が印象的な曲。歌詞を見てみると「赤い丘を過ぎる雲」なるフレーズが登場し、遠藤遼一(vo)のボーカルは「ねっとりとしたナルシズム」を感じるものとなっている。
6 L-MESS

「怪しい宴」をインダストリアル・ボディミュージックで表現したようなイメージの曲。エフェクトのかかったボーカルは恐怖感が強調されており「呪縛」のようである。「鳥の鳴き声を電子音に変換した」ようなイメージのアシッドハウス的アプローチと「硬質な箱を強パンチで殴る」ようなシンプルなビートが印象的である。
7 SPINDLE

「凸凹したモノトーンなフロア」を連想するビートオリエンテッドな曲。この曲でも「ジャングルにいるような錯覚を覚える」アシッドハウス的な潤った音響を導入している。歌詞は他の収録曲同様に意味深なものとなっているが、おそらくエロティックな内容であると思われる。
9 EARTH BORN

「氷の迷宮」のような冷気を感じる耽美チューン。「冷たいクリスタル」を連想するシンセとパンチの効いたビートを中心に構成されるシンプルなサウンドとなっているが「万華鏡」のようにカラフルなイメージが頭の中に浮かぶ曲となっており、リスナーのイマジネーションを刺激する。
10 BLACK ICE

「7 SPINDLE」同様に「凸凹したモノトーンなフロア」を連想するビートが存在感を放つアッパーチューン。アルバムの中で最もアッパーな曲をアルバムの最後に配置するセンスに「相当なひねくれ」を感じる。シンセサウンドは「デパートの屋上で催されるヒーローショー」のような華やかさを感じるさせ、 終盤は低音が強調された展開となり生ドラムの連打やインダストリアル・ビートなども挿入される。

日本の音楽シーンにおいてバクチク(BUCK-TICK)と共に「インダストリアル・ボディミュージック」からの影響を色濃くサウンドに反映させた先駆的ユニット/ソフトバレエ(SOFT BALLET)のデビューアルバム。 ほとんど全ての曲に「立体的」「凸凹」と形容したくなる潤ったビートを導入しており「ダークで怪しげなサウンド」ではあるのだが不思議な躍動感を感じるというタイプの曲が多い。本作を聴く限りではこ

READ MORE

アシッドハウス的なディープさとジャジーな要素を大幅に加えた3rdアルバム「音楽で繋がる世界」「グルーヴは万国共通」などの思いがテーマになっていると思われ前作より多面的になったサウンドはどこか無国籍な印象を与え少しマニアックな質感がある。

また歌詞にも「バハマ」「行ったことない南の島」などインパクトのあるフレーズが登場。「3 寒い夜だから…(SEQ OVER DUB MIX)」「7 Silver and Gold dance(Remix)」「8 Beauty and Beast」などの曲で聴けるサビのボーカルラインはTKサウンドの代名詞である弾けた質感の素晴らしいメロディーをもっている。

どこかマニアックなサウンドと弾けたサビのボーカルラインの共存は「TMNの小室」から「希代のヒットメーカーTK」へと進化する過渡期的な内容であるといえる。

    「要点」

  • 「無国籍感を感じるサウンド」と「弾けたサビのボーカルライン」が共存
  • 「TMNの小室」から「希代のヒットメーカーTK」へと進化する過渡期的な内容

「曲解説」

1 WORLD GROOVE 1st.chapter(Forest Ambient)

曲名通り「森林の中にいる」ようなアンビエント感があるオープニングのインスト。終盤は「森林の中から他の空間にワープする」かのようにシンセサウンドが揺らめく。
2 Feel the CENTURY

「1 WORLD GROOVE 1st.chapter(Forest Ambient)」とはうってかわり「都会の狂騒」を思わせるゴージャスなシンセサウンドを中心に展開されるアグレッシブなテクノ。リズムアプローチはシンプルでアシッドハウス的な弾力感をもつ四つ打ちがメインとなっている。
3 寒い夜だから…(SEQ OVER DUB MIX)

アーバンなジャズテイストをアシッドハウスに反映させたサウンドと「寒い夜だから」という歌詞とは裏腹にどこまでも伸びていくような抜群のメロディーをもつサビのボーカルラインがインパクト大のヒットシングル。全編にわたり「賑わう休日の銀座」のように弾けるサックスサウンドが曲に色彩を与えている。
4 CAMILLE CLAUDEL

アンビエントな質感のアルペジオ風サウンドをシンセで再現した「深夜」のような雰囲気をもつディープソング。歌詞の内容はディープなサウンドと同様に深いもので「無防備な信頼、それは恋の入り口」であると説く。ビートはスライムのような弾力と潤いを持つアシッドハウスなアプローチとなっている(1:45〜)サウンドの質感に寄り添うような渋いギターフレーズがミニマムに鳴り響く。終盤はサビのボーカルラインをシンセサイザーでなぞるという展開になるのだがキャッチーとは言えないメロディーが非常に耳に残る。これが小室マジックだろうか。
6 Waiting Waves (夏の気分を待ちわびて)

YU-KI(vo)のボーカルがコミカルな響きを持つ変化球ソング。「バハマに行きたいが東京からマイアミはストレートには行けない」という歌詞もどこかシュールである。終盤はリズムアプローチにプリミティヴな要素が加えられパーカッショナルな躍動感を感じる。またアウトロでは空間を縦横無尽に踊るサックスソロが登場する。
7 Silver and Gold dance(Remix)

「曇り空」のようなUKテイストと高揚感が同居しているアッパーなダンスチューン。サビのメロディーは頭に即座にインプットされるグッドメロディーである (2:18〜)地を這うような質感の重低音が鳴り響き、その後はシンセソロが飛び出しサビのボーカルラインをなぞる。アウトロでもシンセでサビのボーカルラインが繰り返し奏でられる。この曲は自信のあるサビのボーカルラインを聴かせる為の曲という感じがする。
8 Beauty and Beast

「海」のようなうねりと「星々のきらめき」を感じるアッパーチューン。アシッドハウス的なディープでミステリアスなサンプリングボイスや「良質なポップ・ミュージックのサビの断片を切り取った」ような女性ボイスが空間を自由に舞う。この曲でYU-KI(vo)が歌うのはサビのみでありサビのボーカルラインは「輝く星」のような電子音と絡まり華やかである。
10 Winter Grooves

カラフルなシンセサウンドが頭の中を駆け回るテクノポップ風の曲。サビではTKサウンドを象徴する「wow,wow,wow」というコーラスがボーカルラインを華やかに彩る。
11 WORLD GROOVE 3rd.chapter(main message)

アーバンでジャジーなサウンドをベースにした無国籍ポップ。終盤はシックなサックスが縦横無尽に鳴り響き曲をビシッと引き締めている。歌詞の内容は「行ったことがない南の島でも感じることができるWORLD GROOVE」について。

アシッドハウス的なディープさとジャジーな要素を大幅に加えた3rdアルバム「音楽で繋がる世界」「グルーヴは万国共通」などの思いがテーマになっていると思われ前作より多面的になったサウンドはどこか無国籍な印象を与え少しマニアックな質感がある。 また歌詞にも「バハマ」「行ったことない南の島」などインパクトのあるフレーズが登場。「3 寒い夜だから…(SEQ OVER DUB MIX)」「7 Silver a

READ MORE

アシッドハウスリヴァイバルの立役者ハードフロア(Hardfloor)の1stアルバム。

アシッドハウス特有の「鼓動」のような四つ打ちサウンドとリスナーを「ジャングル」に誘うディープネスを継承しつつ、ダークな質感を加え歪ませたようなイメージのサウンドとなっており、人間の声を歪ませたように聴こえる電子音が曲に随所で聴け不気味な怖さを感じる。

また「静けさ」や「不穏さ」を強調するストリングス(シンセかも?!)が多く使われており、この点は「オリジナル・アシッドハウス」と決定的に異なる点である。90年代前半のテクノ勢などが得意としている極彩色な電子音などは皆無で個人的には非常にマニアックな音楽であるという印象を持った。

    「要点」

  • アシッドハウスをダークに歪ませたサウンド
  • 「静けさ」や「不穏さ」を強調するストリングス(シンセかも?!)が頻出

「曲解説」

1 Lost In the Silverbox

「モザイク」のような質感の四つ打ちが終始鳴り響く、歪んだアッパーチューン。「耳にグサリと突き刺さる光線」のような電子音は80年代アシッドハウスにはあまり聴けないタイプのものである(4:48〜)四つ打ちのリズムが「パタリ」とストップして不穏な静けさをもつストリングスと「警報機」のようなモザイクがかった電子音だけが流れる展開が中間部に挿入され、終盤はこれぞアシッドハウスという「スライム」のように潤った低音が登場しアッパーなBPMに戻る。最後は不穏なストリングスと「鼓動」のような四つ打ちだけが静かに流れる。
2 Trancescript

「海の中で鳴らされたアシッドハウス」のようなイメージの曲。潤いのあるディープな電子音がミニマムに鳴り響き「トライアングル」のような金属的な高音が耳を刺激(4:44〜)ダークで少し神秘的なストリングスが曲にシリアスな空気感を与え、終盤はリズムレスの展開となり「男の声の断片を強烈に歪ませた」ような電子音が鳴り響き少し不気味である。
4 into the Nature

神秘的なストリングスが生み出す浮遊感とディープな四つ打ちの対比が印象的な曲。この曲でも「男の声の断片を歪ませた」ような音がループされミステリアスな雰囲気を醸し出している(4:15〜)歪んでいる電子音がさらに歪み「ちぎれる」ような質感のサウンドに進化してリスナーの脳みそを絞る。終盤は「メロディーの断片」のような柔らかな女性ボイスが挿入され僅かなポップさを感じる。
6 Acperience 1

全体を通して歪んだ潤いのような質感を持つ曲(1:42〜)「電子の海に広がる波紋」のようなデリケートな電子音がダークな曲に光を与える(2:10〜)「終幕」のようなシリアスさを持つ透明なベールのようなサウンドが一番遠くで鳴り響き全体を包む。終盤はビートが躍動感と複雑性を増し、リスナーの脳みそと体を同時に揺らす。最後はシリアスで透明なベールサウンドが「消えかけのロウソク」のようにミステリアスに鳴り響く。
8 AM-Trip

ダークでクラシカルなストリングス風シンセと「神経質で小刻み」なブレイクビーツが宇宙を連想するラストチューン(4:56〜)これまで「音響」として佇むように流れていたストリングスが壮大な旋律を奏で始める。本作はメロディーや旋律を拒絶するような曲が多いので、この旋律の登場には非常に安堵感を感じる。終盤はアシッドハウス特有の「動物の声にエフェクトをかけた」ような音の断片が空間を舞いジャングル感を醸し出す。

アシッドハウスリヴァイバルの立役者ハードフロア(Hardfloor)の1stアルバム。 アシッドハウス特有の「鼓動」のような四つ打ちサウンドとリスナーを「ジャングル」に誘うディープネスを継承しつつ、ダークな質感を加え歪ませたようなイメージのサウンドとなっており、人間の声を歪ませたように聴こえる電子音が曲に随所で聴け不気味な怖さを感じる。 また「静けさ」や「不穏さ」を強調するストリングス(シンセかも

READ MORE

「極彩色の光」「稲妻」「虹」などの形容詞がよく似合うデジタルで色彩豊かなシンセサウンドが印象的なオービタル(Orbital)の2ndアルバム。wikiを見るとのアシッドハウスリバイバルの立役者と書いてあったのだが「あまりアシッド・ハウスっぽくはない」という印象を持った。

アシッドハウス的な「亜熱帯ジャングル」な質感はあまりなくどちらかというと「宇宙」とか「砂漠」などを連想するサウンドであると思う。アシッドハウスからの影響をオービタル(Orbital)のフィルターを通して表現したという事だろう。また気になったのがインダストリアル・ボディー・ミュージック的なザラついた質感のサウンドが時折、登場する事だ。ロックからの影響とも距離を置いていない点がオービタル(Orbital)の個性かもしれない。

    「要点」

  • 「極彩色の光」「稲妻」「虹」などの形容詞がよく似合うシンセサウンド
  • 「宇宙」とか「砂漠」などを連想するサウンド

「曲解説」

1 Time Becomes

ほとんど無音状態の中でタイトルである「Time Becomes」が無限ループされるシュールなオープニングソング。
2 Planet of the Shapes

「二日酔いの朝に見る太陽」のようなサイケ・サウンドがリスナーをアナザーサイドに導くアシッドハウスチューン(1:00)頃まで「右のイヤホンから全く音が聴こえない」というマニアックな拘りが凄まじい(6:17〜)インダストリアル・ボディー・ミュージックのようなダークで怪しげなサウンドが登場、癖のあるメロディーだが非常に耳に残る。気だるさを感じつつも体が横揺れしてしまう、そんな曲。
3 Lush 3-1

「頭の中を無数の光線が通過する」ような極彩色でアッパーなテクノチューン。レンガブロックのように四角いベースラインが頭にガンガン響いてきて、主旋律は「うねる蛇」のようでアラブの匂いを感じるものとなっている(3:56〜)「顔にパイを投げつける」ような「バッ、バッ」という歪んだ音は少しインダストリアル・テイスト。
4 Lush 3-2

女性ボーカルのエモいサンプリングボイスを活かした酩酊のような曲(2:20〜)鈍い稲妻のようなサウンドの登場から「スライムだらけの部屋」のようなサウンドに切り替わり、 終盤はリズムアプローチがより立体的になり躍動感を感じる展開となる。
6 Remain

「宇宙遊泳」のような無重力感を感じるアッパーチューン。「虹」を連想する極彩色な七色のシンセサウンドがインパクト大。この曲でもザラついた質感のインダストリアルノイズが登場し曲にエッジを与えている。
7 Walk Now

「テレビに映る砂嵐」のようなザラついた質感を持つ曲(2:15〜)無数の光が目の前を横切り「光溢れるトンネルを歩いている」ような展開に移行、中盤以降は目の前を横切る光の数がこれまでの2~3倍に増えて頭の中が軽い混乱状態となる。最後はざらついた砂嵐サウンドが更にうねる展開を見せる。
8 Monday

「ウォームなオルガンのリフレイン」と「空を歩くような浮遊感を持つストリングス」が印象的な曲で黄金に輝く電子色はセンチメンタルなメロディーを奏でている。中盤以降、リズムがディープさを増し(4:28〜)直線的なアラブのラッパ風サウンドが曲に「夜の砂漠」のような空気感を与える。終盤は「嵐が過ぎ去った砂漠に北風が吹いた」ようなシュールな清涼感を感じるサウンドを聴かせてくれる。
10 Input Out

オープニング「1 Time Becomes」と同様にタイトルである「Input Out」を無限ループする曲。この謎な捻くれっぷりは一体。。

「極彩色の光」「稲妻」「虹」などの形容詞がよく似合うデジタルで色彩豊かなシンセサウンドが印象的なオービタル(Orbital)の2ndアルバム。wikiを見るとのアシッドハウスリバイバルの立役者と書いてあったのだが「あまりアシッド・ハウスっぽくはない」という印象を持った。 アシッドハウス的な「亜熱帯ジャングル」な質感はあまりなくどちらかというと「宇宙」とか「砂漠」などを連想するサウンドであると思う。

READ MORE

アシッドハウスサウンドをニュー・オーダー(New Order)らしい立体的でポップなサウンドに反映させたアルバムで四つ打ちをベースにしたディープなビートと「曇り空」を連想するメランコリックな雰囲気が特徴である。

80年代末はアシッドハウスが多くのミュージシャンにインスピレーションを与えたが、本作はアシッドハウスサウンドを取り入れてこそいるがサイケデリックな質感はほとんどない。むしろサイケとは対極にあるような「曇りの海辺に佇むようなメランコリックさ」と少しの清涼感を感じるサウンドとなっており、トレンドを取り入れながらもニュー・オーダー(New Order)らしさは失われてはいないバランスのよい作品と言える。

    「要点」

  • アシッドハウスを立体的でポップなサウンドに反映
  • 「曇りの海辺に佇むようなメランコリックさ」

「曲解説」

1 Fine Time

ニュー・オーダー(New Order)らしいポップネスとアシッドハウスを見事に融合させた「うねる電子の海」のような曲。アシッドハウスを象徴する「スライム」のように弾力のある低音が印象的(1:10〜)「分身」のようなトリッキーボイスがいかにもニュー・オーダー(New Order)(2:50〜)メリーゴーランドに乗っているかのようなメルヘンさを感じる華やかなシンセサウンドが展開され、その後には牧歌的なメロディーが流れほっと一息。最後は不穏な笑い声で締めくくられる。
2 All the Way

海辺にいるような爽快さと少しだけ冷たい風を同時に感じるキュアー(CURE)風な空間系ポップ。あまりにキュアー(CURE)の某曲にそっくりのため、恐る恐るググってみると「パクられた報復としてコード進行パクり返した」(wiki)との事(1:03〜)キーボードソロに関しては某曲とほとんど同じなのではという位に似ている。終始、ピーター・フック (Peter Hook)のベースラインが縦横無尽に動きコクのあるうねりを与えている。
3 Love Less

曇りの日の海辺のような少しメランコリックなポップソング。珍しくアコースティックギターのフレージングが登場。ピーター・フック (Peter Hook)のベースラインは囁くようなメロディーを奏でている。
4 Round And Round

ディスコのような派手なシンセサウンドで幕をあけるリズム・オリエンテッドな曲。複数のリズムアプローチが絡みダンサブルなリズムの上をカラフルでプラスティックな電子音が鳴り響く。時折、挿入される「ファミコン」を連想するピコピコ音が80’sライクでアップテンポでファンキーな側面と密室的な空間が同居している。最後はアシッドな雨のような電子音だけが激しく降り降り注ぐ展開。
5 Guilty Partner

曇り空のようなベースリフが印象的なニュー・オーダー(New Order)クラシック。バーナード・サムナー(Bernard Sumner)のボーカルラインはサビで一瞬エモーショナルになるが、基本的にはメロディックな語り調のようなものとなっている。(3:02〜)メロウなアコギのメロディーが登場し静かに流れるような曲に変化が現れ始める。終盤は清涼感を感じるシンセサウンドが少し寒い空気感を演出、ピーター・フック (Peter Hook)のベースはメロディックなフレーズを奏でる。
7 Mr.Disco

「アシッドハウス的なディープさ」と「どんよりした曇り空」のような雰囲気が同居している曲。ディープで潤いのあるビートの上を多様なプラスティックやビー玉を連想する音の断片が踊る。中間部でテンポダウンして一層ディープになるパートがあるが、本家アシッドハウスのジャングル感にアーバンな質感を+aしたようなものとなっている。
9 Dream Attack

「海辺の風」のような雰囲気を感じるシンセポップ。ストリングスが壮大な空気感を作り出し、立体的なベースラインが底から湧き上がり曲に活力を与えている。終盤は珍しく?!メロディーのあるギターフレーズが登場する。最後は徐々にフェードアウトするように静かに終わる。

アシッドハウスサウンドをニュー・オーダー(New Order)らしい立体的でポップなサウンドに反映させたアルバムで四つ打ちをベースにしたディープなビートと「曇り空」を連想するメランコリックな雰囲気が特徴である。 80年代末はアシッドハウスが多くのミュージシャンにインスピレーションを与えたが、本作はアシッドハウスサウンドを取り入れてこそいるがサイケデリックな質感はほとんどない。むしろサイケとは対極に

READ MORE

1 2