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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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アシッドハウスサウンドをニュー・オーダー(New Order)らしい立体的でポップなサウンドに反映させたアルバムで四つ打ちをベースにしたディープなビートと「曇り空」を連想するメランコリックな雰囲気が特徴である。

80年代末はアシッドハウスが多くのミュージシャンにインスピレーションを与えたが、本作はアシッドハウスサウンドを取り入れてこそいるがサイケデリックな質感はほとんどない。むしろサイケとは対極にあるような「曇りの海辺に佇むようなメランコリックさ」と少しの清涼感を感じるサウンドとなっており、トレンドを取り入れながらもニュー・オーダー(New Order)らしさは失われてはいないバランスのよい作品と言える。

    「要点」

  • アシッドハウスを立体的でポップなサウンドに反映
  • 「曇りの海辺に佇むようなメランコリックさ」

「曲解説」

1 Fine Time

ニュー・オーダー(New Order)らしいポップネスとアシッドハウスを見事に融合させた「うねる電子の海」のような曲。アシッドハウスを象徴する「スライム」のように弾力のある低音が印象的(1:10〜)「分身」のようなトリッキーボイスがいかにもニュー・オーダー(New Order)(2:50〜)メリーゴーランドに乗っているかのようなメルヘンさを感じる華やかなシンセサウンドが展開され、その後には牧歌的なメロディーが流れほっと一息。最後は不穏な笑い声で締めくくられる。
2 All the Way

海辺にいるような爽快さと少しだけ冷たい風を同時に感じるキュアー(CURE)風な空間系ポップ。あまりにキュアー(CURE)の某曲にそっくりのため、恐る恐るググってみると「パクられた報復としてコード進行パクり返した」(wiki)との事(1:03〜)キーボードソロに関しては某曲とほとんど同じなのではという位に似ている。終始、ピーター・フック (Peter Hook)のベースラインが縦横無尽に動きコクのあるうねりを与えている。
3 Love Less

曇りの日の海辺のような少しメランコリックなポップソング。珍しくアコースティックギターのフレージングが登場。ピーター・フック (Peter Hook)のベースラインは囁くようなメロディーを奏でている。
4 Round And Round

ディスコのような派手なシンセサウンドで幕をあけるリズム・オリエンテッドな曲。複数のリズムアプローチが絡みダンサブルなリズムの上をカラフルでプラスティックな電子音が鳴り響く。時折、挿入される「ファミコン」を連想するピコピコ音が80’sライクでアップテンポでファンキーな側面と密室的な空間が同居している。最後はアシッドな雨のような電子音だけが激しく降り降り注ぐ展開。
5 Guilty Partner

曇り空のようなベースリフが印象的なニュー・オーダー(New Order)クラシック。バーナード・サムナー(Bernard Sumner)のボーカルラインはサビで一瞬エモーショナルになるが、基本的にはメロディックな語り調のようなものとなっている。(3:02〜)メロウなアコギのメロディーが登場し静かに流れるような曲に変化が現れ始める。終盤は清涼感を感じるシンセサウンドが少し寒い空気感を演出、ピーター・フック (Peter Hook)のベースはメロディックなフレーズを奏でる。
7 Mr.Disco

「アシッドハウス的なディープさ」と「どんよりした曇り空」のような雰囲気が同居している曲。ディープで潤いのあるビートの上を多様なプラスティックやビー玉を連想する音の断片が踊る。中間部でテンポダウンして一層ディープになるパートがあるが、本家アシッドハウスのジャングル感にアーバンな質感を+aしたようなものとなっている。
9 Dream Attack

「海辺の風」のような雰囲気を感じるシンセポップ。ストリングスが壮大な空気感を作り出し、立体的なベースラインが底から湧き上がり曲に活力を与えている。終盤は珍しく?!メロディーのあるギターフレーズが登場する。最後は徐々にフェードアウトするように静かに終わる。

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