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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果5件

タグ「アバンギャルド」のレビュー

音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。

「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)などの「オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト」からの影響をブルースやジャズなどの音楽と絡める事で「前衛的でありながら強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界を構築している。

コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない。本作で聴くことができるトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「虚無的でありながらもディープ」なものとなっており、ギターロック期とはまた別のベクトルで「リスナーの感性に深く突き刺さる」ものとなっている。

    「要点」

  • ・「強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界
  • ・コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない

「曲解説」

1 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box

冷たく規則正しいリズムの上で「シュールな儀式」を連想するエレクトロビートがミステリアスに鳴り響くリズムオリエンテッドなオープニングチューン。前作「KID A」同様に厳選された「エレクトロニカ以降の音響とビート」を大胆に取り入れてはいるのだが、前作より無国籍が強調されていると感じる。
2 Pyramid Song

前作「KID A」に収録されいた「How to Disappear Completely」同様に幽玄な雰囲気を醸し出しているピアノバラードで恐怖感と不気味な寒さを感じるストリングスを大胆にフィーチャーしている。歌詞の内容は「死後の世界で生前の事を追憶した」ような内容となっている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「この世の全てに絶望している」かのように虚無的でありながらも同時に灼熱の熱さも感じさせるものとなっている。
3 Pulk/Pull Revolving Doors

「タイムマシーンにのって時空をワープする」ような雰囲気を醸し出しているマニアックなインスト。「ガラスの破片」のような鋭角的なビートと「オーガニックで牧歌的」な音響を見事に絡めており、オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト「ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada)」 からの影響が感じられるが模倣にはならずレディオヘッド(Radiohead)らしく「ロック的なエッジ」が感じられる。
4 You and Whose Army?

「強烈なノスタルジー」を感じるオーガニックなジャズバラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「天国にいるおじいちゃんが子供達に優しくそしてディープに語りかける」ような質感である。
5 I Might Be Wrong

乾いたギターリフが無感情にリフレインされるギターロックで「KID A」以前のエモーショナルなサウンドではなく「冷凍庫の中にいる」ような冷たさを感じさせる。「ストイックなまでに感情を抑制する」様はドライアイスのよに冷たく熱い。
7 Morning Bell

「KID A」に収録されていた「Morning Bell」は冷たいエッジが強調されたサウンドが魅力的であったが、このAmnesiacバージョンは「恍惚」のような眩しさを感じさせるアレンジとなっている。本アルバムを構成する重要な要素である「ノスタルジー」「オーガニック」 「虚無感」「ミステリアスな熱さ」などが総動員されており収録曲の中で「最も本作を象徴している」曲なのかもしれない。
10 Like Spinning Plates

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)が発明した「極彩色のサイケデリアを無理矢理に逆回転させた」ようなトリップ必至の神曲。歌詞は難解で一度見ただけでは理解が難しい内容ではあるが、おそらく「弱い者が存在してくれるからこそ強い者が栄える」という「世のダークサイドに対して虚無感を吐き出した」ものであると思われる。
11 Life in a Glasshouse

「悟りを開いた老人のディープな嘆き」のようなトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルが秀逸すぎるジャズバラード。枯れた渋みが強調されたトランペットの音色が、この曲に「幼少期のセンチメンタルな思い出」のような強烈なノスタルジーを与えている。

音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。 「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)

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ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。

「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこのサウンドは斬新を超えており、現在のように「全世界がオンラインで繋がっている環境」が97年当時に存在すれば、間違いなく海外のコアな音楽ファンに大絶賛されていたはずである。また同年にリリースされたルナシー(LUNASEA)のもう一人のギタリスト/イノラン(INORAN)のソロアルバムも「トリップホップ」からの影響を大胆に反映させた耽美サウンドとなっており「神作」となっている。

本作に収録されているほとんど全ての曲で「ミステリアスなダークさ」と「耽美さ」がナチュラルに漂っておりV系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない。偉そうなことを言って恐縮だが本作はSUGIZO自身がボーカルを務めた曲で一部ミスマッチな質感があったので惜しくも「傑作」だが、一部のボーカルのミスマッチさえなければ文句なしに「神作」であった。どのような音を鳴らしても「SUGIZO流」になる「個の強さ」は圧巻であり日本が世界に誇れる才能である。

    「要点」

  • ・「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈したアバンギャルドでダークなサウンドが堪能できる
  • ・V系サウンドのベーシックはSUGIZOが生み出したと言っても過言ではない

「曲解説」

1 LUCIFER

ヘヴィなギターサウンドの断片がミステリアスな浮遊感をもつ空間で輝き、リズムアプローチは「迷走」のようなドラムンベースという「音楽マニア」SUGIZOらしい前衛的なアッパーチューン(2:52〜)SUGIZOらしいロングローンのギターソロが空間をアブノーマルに支配する(4:04〜)「can I fly?can you fly?」という宇宙的な響きのコーラスが登場、このコーラスは後にリリースされるルナシー(LUNASEA)の曲「LOVE ME」のコーラスのプロトタイプ的な響きがある。
2 THE CAGE

たっぷりとリヴァーヴをかけた残響ギターサウンドが心地よいドラムンベースチューン(2:40〜)ディープで耽美的なアルペジオが鳴り響く中、SUGIZOによるミステリアスな語りがはじまる。その後は「わずかに燃える炎」のような幽玄なバイオリンサウンドが挿入されるという「凝りに凝られた」展開をみせる。最後は静寂の中「強烈にモザイクがかかった液体」のようなサウンドだけが鳴り響く。
3 KANON

「UK産ダークなヒップホップ=トリップホップ」からの影響を感じる耽美チューン。ボーカルはゲストボーカリストが務めSUGIZOはコーラスを担当している。SUGIZOのコーラスは「メタリックな水面」のような質感でセンス抜群、曲に「ヘブン」のような浮遊感をもたらしている。
4 EUROPA

クリアで「水晶玉」のような神秘性を感じるアルペジオがインパクト大のインスト。全編に渡りSUGIZOらしい「凝りに凝られた」ギターサウンドで埋め尽くされている。終盤はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)彷彿の「ディープでエロスな音響」が存在感を放つ。
5 Le Fou

アンビエントなアルペジオがミニマムにループされる神インスト。神聖でシリアスな音響は「暗闇の中に天使が舞い降りる」イメージを連想する。時折、挿入されるSUGIZOのバイオリンサウンドの断片が神聖な音響の中でヒステリーに響き渡る。
6 BEAUTY

「金属ボックスをハンマーで叩いた」ようなパンチの効いたリズムがインパクト大の我流トリップホップで「酔っ払いが吹いた」ようなバグったサックスサウンドが曲にサイケな揺らめきを与える(2:00〜、4:10〜)唐突な転調が入り「退廃的メルヘンワールド」のような静パートに切り替わるという意外性のある展開(3:48〜)ギターソロはトム・モレロ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)のアバンギャルドサウンドにSUGIZOが「宇宙的なアレンジ」を施したような内容となっており、リスナーをアナザーワードルへと誘う。
7 CHEMICAL

「不気味な影に追いかけられる」ような切迫感を感じるリズムオリエンテッド・チューン。この曲でも「6 BEAUTY」同様に唐突な転調が入り「メルヘンティックな静パート」が挿入される。空間を漂うように流れる「和の旋律」が非常にミステリアスである。
9 MISSING

浮遊感溢れる音響と「アバンギャルドなタップダンス」のようなドラムンベースの対比が面白い曲(1:58〜、4:18〜)無条件に宇宙を連想する残響ギターサウンドが挿入される。歌詞は哲学的な内容で「果てない宇宙」をテーマにしていると思われる。
11 KIND OF BLUE

「天空」を連想する音響の中を「孤独」なサックスが自由に舞うインストでリズムはドラムンベース風である。時折、挿入されるギターサウンドは「直線的なネオンカラー」のような質感で曲に彩りを与えている。ギターソロは勿論の事、アバンギャルドで「巨大な鳥の狂った鳴き声」のようである。
13 DELIVER…

フレンチポップのようなメロウネスが印象的な空間系ソングでゲスト・女性ボーカリストの声は曲と非常にマッチしている(2:22〜)金属的でパンチの効いたビートが挿入される、その後に登場する歪んだギターサウンドはまるで「戦争が始まった」かのような壊れっぷりで「良質なフレンチポップソング」として成立していた曲をズタズタにする。良くも悪くもSUGIZOの「捻くれイズム」が凝縮されたような曲となっている。
16 LUNA

ミニマムなアルペジオがループされる幻想的なラストソング。歌詞はSUGIZOの娘「LUNA」の誕生に伴う感動を言語化したものである(3:50〜)子供の泣き声と「寂れた街」のような孤独を纏ったピアノの旋律が静寂の中で響き渡る。最後は幻想的な音響の中で波の音だけが流れる。

ルナシー(LUNASEA)サウンドに宇宙的で神聖な雰囲気を持ち込んでいる「音楽マニア」SUGIZOのソロデビューアルバム。 「ドラムンベース」「トリップホップ」など当時の前衛音楽からの影響をSUGIZOなりに解釈した「アバンギャルドでダークなサウンド」が堪能でき、「5 Le Fou」「16 LUNA」などではスティーヴ・ライヒ(Steve Reich)彷彿のミニマリズムを導入している。97年にこの

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言葉本来の意味でのオルタナティヴ(代案)を体現するアーティスト/ベック(Beck)。HIP HOPのビート感、変幻自在な電子音、アバンギャルドなノイズなどあらゆる音楽の面白いところ曲に反映させるベック(Beck)サウンドは唯一無二。子供のように音楽で好き勝手に遊び、そのサウンドを冷静に楽曲に落とし込んだようなイメージなので、「ごった煮サウンド」であっても無印良品のアイテムのように「シャープでシンプルなポップミュージック」として成立している。

またこれだけ様々な要素を反映しているにも関わらず全編を通してカントリーのような牧歌的でのどかな雰囲気を一貫して感じることができる点に相当なこだわりを感じる。90年代的なジャンルのクロスオーバーを象徴するような1枚と言える。

    「要点」

  • ごった煮サウンド
  • 複雑だが「シャープでシンプルなポップミュージック」
  • 全編を通してカントリーのような空気感
1 Devils Haircut

序盤はウォームで少し歪んだリフと淡々としたビートで進行(0:46〜)「意外な登場人物が現れた」ような効果音が鳴りビートがブレイクビーツに移行。ブレイクビーツ登場以降は、「ドリーミーな電子音」や「ドアノブを回すような幽かなノイズ」などが登場し夢心地な雰囲気となるが、その空気感の中で(2:58〜)マニアックなエフェクトをかけたシャウトが登場。「僅かなグランジ匂」を残し曲は終了する。
2 Hotwax

フォーク調のギターサウンドとアナログでゆったりしたビートの上をリラックスしたベック(Beck)流のラップが乗る。ソニック・ユース(Sonic Youth)彷彿のアバンギャルドノイズが頻繁に登場し曲をカオスにする。電子加工された管楽器のような音色やDJのスクラッチのような音も挿入されるサウンドはまさに「ごった煮」(3:11〜) そんな「ごった煮サウンド」を遮るように「夕暮れ時」のような雰囲気が流れ「小鳥のさえずり」がはじまる。曲はそのままの雰囲気で最後は「沈む夕日」のようにしっとりと終わる。
3 Lord Only Knows

「老人の叫び声」のような声で幕をあける。終始鳴り続ける僅かに歪んだ音響は「夏の終わりのビーチにいる」かのようにメロウでノスタルジーな雰囲気を醸し出す(1:26〜)ビートが強調されて枯れた味わいのあるギターソロが流れる。終盤、音響の歪みが増幅され「電子の海」と化すがそこに(3:38〜)フラメンコギターのようなラテンな流れる旋律が流れる。それを皮切りにアバンギャルドノイズが流れ曲をズタズタに切り裂く。
5 Derelict

「砕けたクリスタル」のような神秘的でデリケートな電子音が流れる中をベック(Beck)の歪んだ気だるいラップが乗る(1:50〜)リズムが複雑性が増して、まるでダブ・ステップのようなリズムに一時かわる。そこに(2:05〜)中東を連想する「煙」のようなラッパの音が流れる。終盤は中東的な雰囲気が全体を支配して全てを包むように曲は終わる。
6 Novacane

「沈む夕日」のようなカントリー調ではじまるが(0:20〜)シュールな祝祭のような電子音の登場を皮切りにヘヴィなギターと神経質で小刻みでビートが登場。オルタナサウンドと歪んだラップを中心に展開される(1:25〜)デジタルな太陽光線のようなノイズが鳴り響く(2:05〜)一瞬のブレイクの後にDJスクラッチが顔を出し、そこから冒頭のカントリー調もあらわれる展開。終盤はアバンギャルドな音が順繰りに登場し鳴り響く。もはや冒頭の「沈む夕日」のようなカントリー調の姿は跡形もない。
9 Minus

ギターだけではなく音響全体が歪んでいるようなベック流オルタナソング(1:00〜)リズムがぐっとスローになり「70年代ハードロック」のような展開になるが、すぐにまた元の展開に戻る。終盤はハードなオルタナサウンドとキラキラした電子音が絡まる。
11 Readymade

ゆったりしたHIP HOPのビートと気だるくヨレたギターリフで展開される。キラキラした電子音や「軍歌」のようなラッパの音色も登場。ベックのボーカルも淡々として抑揚のない落ち着いたものになっているが、この淡々とした変化のなさがアバンギャルドな本作の中では異質。

言葉本来の意味でのオルタナティヴ(代案)を体現するアーティスト/ベック(Beck)。HIP HOPのビート感、変幻自在な電子音、アバンギャルドなノイズなどあらゆる音楽の面白いところ曲に反映させるベック(Beck)サウンドは唯一無二。子供のように音楽で好き勝手に遊び、そのサウンドを冷静に楽曲に落とし込んだようなイメージなので、「ごった煮サウンド」であっても無印良品のアイテムのように「シャープでシンプ

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80年代USアンダーグラウンドシーンを代表するバンドソニック・ユース(Sonic Youth)実験的でシュールな絵画を見ているような錯覚に陥るアバンギャルドなギターサウンドをギターロックに反映させたエポックメイキングなバンドであると同時に、ニルヴァーナ(Nirvana)やダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)を「発掘」した名スカウトでもある。

「壊れた質感」「ノイズを音響として活かしたサウンド」「ありえないコード進行の不穏な響き」などの特徴を持つ音楽性。90年代におけるグランジ・オルタナギターロックの台頭はソニック・ユース(Sonic Youth)なしでは考えられない。本作はメジャーレーベル移籍後にリリースされた第一弾アルバムだが、「油絵」のようにぼやけた音響やアバンギャルドなノイズサウンド満載でシュールとしか言いようのない異空間を作り上げている。ポップではないしリスナーを選びまくる作品であることは間違いないが、ポップソングとしてギリギリのギリギリのラインで成立している(2.・3曲成立していない曲もある)

    「要点」

  • アバンギャルドなギターサウンド
  • シュールとしか言いようのない異空間
  • ニルヴァーナ(Nirvana)を「発掘」

「曲解説」

1 Dirty Boots

オリエンタルな雰囲気のミニマムなベースフレーズを中心に進行する曲でサーストン・ムーア (g, vo)は話すようなテンションで淡々とメロディーを歌い上げる(2:35〜)「重い扉を開ける」ようなギターノイズが鳴り響き壊れた展開に移行するとさっきまでのテンションが嘘のようにサーストン・ムーア (g, vo)が「Dirty Boots」というフレーズを連呼。また横殴りの雨のようなノイズギターが飛び出し混沌とした雰囲気となる。 終盤はオリエンタルな響きのギターサウンドが響く展開だが(4:50〜)水面に浮かぶ揺れる炎のようなメロウな展開になり静かに終わる。
 2 Tunic (Song for Karen)

 「油絵」のようなノイズギターが終始鳴り響く浮遊感を感じる曲でキム・ゴードン (b, g, vo)のボーカルは語りのよう(3:40〜)ノイズは真っ白な霧になり視界を防ぐ。ノイズはその後も様々な変化を見せ、曲に色彩を加える。
 3 Mary-Christ

 教会の鐘が鳴り響く神聖な空気感をノイズギターがバッサリと切り裂くイントロ。ノイジーでミニマムなリフを繰り返すソニック・ユース(Sonic Youth)流リフロック(1:20〜)「ピィ〜ピィ〜ピィ〜」と「アバンギャルドの極致」のような音が登場する。
 5 Mote

 「高速回転する竜巻」のようなノイズが縦横無尽に暴れる(3:23〜)スローなテンポになり静寂に包まれる中、複数のアンプのハウリングが響きはじめ「この世の果て」のようなカオスな様相を呈する。この後も「不穏なハウリングが響き続けるだけ」の展開が続くマニアックな曲。
 8 Mildred Pierce

 強烈に歪んだベースラインと効果音のような煌びやかなギターサウンドが絡み疾走する。ソニック・ユース(Sonic Youth)の曲の中では圧倒的にシンプルな曲だと思っていた矢先(1:38〜)狂気じみた絶叫と共に「目に映る全てを破壊する」凶悪なノイズが渦巻く。本作の中でも最も意外性のある曲。

80年代USアンダーグラウンドシーンを代表するバンドソニック・ユース(Sonic Youth)実験的でシュールな絵画を見ているような錯覚に陥るアバンギャルドなギターサウンドをギターロックに反映させたエポックメイキングなバンドであると同時に、ニルヴァーナ(Nirvana)やダイナソーJr.(Dinosaur Jr.)を「発掘」した名スカウトでもある。 「壊れた質感」「ノイズを音響として活かしたサウン

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スペースメン3 (Spacemen 3)の元メンバーが中心になって結成されたスピリチュアライズド(Spiritualized)が97年にリリースした作品Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space(宇宙遊泳)。

本作に触れてみてとにかく「ぶっとんでる」「バグっている」という感想をもった。アルバムタイトル通り無条件に「宇宙」が目に浮かぶ浮遊感と重さと煌びやかさを感じるサウンド。この宇宙空間を不穏なホーンセクションとシンセ(キーボード)、壊れた質感のギターサウンドが縦横無尽に暴れ頭の中に様々なイメージを連想させる。

本当に宇宙を遊泳しているかのような錯覚すら味わえるため、「音楽を聴いた」というよりかは「宇宙をテーマにした実験的な映画」を見たという感覚に襲われる。97年はレディオヘッド(Radiohead)、ザ・ヴァーヴ (The Verve)、マンサン(Mansun)が傑作をリリースした激動の1年だったが、その激動の1年の中で最もアバンギャルドで「ぶっとんでる」過激な作品は間違いなく本作だと断言だと思われる。文句なしで「神作」。

    「要点」

  • バグった宇宙空間
  • アバンギャルドと言っていい実験性

「曲解説」

1 Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space

「宇宙と交信する電波」のような電子音と壮大なストリングスを中心に展開される。宇宙を彷徨っているかのような浮遊感を感じる事ができる本作「宇宙遊泳」にぴったりなオープニングソング。
3 I Think I’m in Love

クラフトワークのような伸びやかなシンセ音が心地よく無条件に宇宙を連想する。2:30分頃に数秒ブレイクした後に「船が港を出港した」かのように曲が動きはじめる。その後は、空間を揺らすミニマムなホーンの音と心地よいボーカルラインが淡々と繰り返される。あまり抑揚がなく淡々と続くタイプの曲なのだが不思議とダレる感覚はない。
4 All of My Thoughts

ピアノの調べとそこに光を差し込むようなオルガンの音で構成される冒頭だが、1:00分頃を境に突如、転調して狂ったようなホーンと重力のようなベースラインが登場しまるで暴風雨を思わせる展開に移行する。その後は「静かなパート」と「暴風雨」を繰り返すという展開、最後は宇宙に包み込まれるように静かに終わる。
6 Electricity

「直線的でビーム」のようなシンセと壊れた質感のあるギターサウンドを中心に進行される作品中で最もアバンギャルドな曲。 ここでも時空がバグらせる狂ったようなホーンセクションが登場する。このバグったような展開は最後まで続く。
8 The Individual

宇宙的なビジュアルが嫌でも目に浮かぶ壮大なインスト。「錆びついたドアのドアノブを回す」ようなザラついたギターノイズと不規則にそして不穏に鳴り響く狂気じみたホーンの音のみで構成される。
10 No God Only Religion

「高速で逆回転」しているかのような電子音と「軍歌」のようなタフさと貫禄をもったホーンセクションがBPMとは別の疾走感を感じる。「光のシャワー」のような電子音も降り注ぐ。目を閉じて見えてくるビジュアルはやはり宇宙。

スペースメン3 (Spacemen 3)の元メンバーが中心になって結成されたスピリチュアライズド(Spiritualized)が97年にリリースした作品Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space(宇宙遊泳)。 本作に触れてみてとにかく「ぶっとんでる」「バグっている」という感想をもった。アルバムタイトル通り無条件に「宇宙」が目に浮かぶ浮遊感と重さと煌び

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