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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果7件

タグ「ギターポップ」のレビュー

前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。

アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンドは「弾きすぎない美学」を体現しており、少ない手数で曲が求めるフレーズのみを提供しており「余計な音」が一切鳴らされていない。

歌詞の内容は「これまでのマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)」を良い意味で壊そうとしている前衛的なものが多く「4 ALICE 〜album version〜」に関してはサビの一部に記号(「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」)が登場し「8 Private eyes」「9 ANIMAL LIFE」は前作に収録されていた「Naked」と同様にエロティクである。また「10 Fallin’ Blue」の歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を描いたようなイメージとなっている。

本作は「メランコリックな音響」を押し出したサウンドが主となっているが「透明感の塊」であるakko(vo)のボーカルが絡まる事で全ての曲が良質なポップソングとして成立している。おそらくではあるが例えどんなにアバンギャルドな音楽であってもakko(vo)が歌うと良質なポップソングとして成立するのでは?!思われる。筆者の個人的な意見ではakko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリストである。

    「要点」

  • ・アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出している
  • ・akko(vo)は「心地よい音響」を提供する女性ボーカリストとしてJ-POP史上TOPレベルのボーカリスト

「曲解説」

1 New Adventure

「真夜中のプール」のようなメランコリックを感じる気だるいオープニングソングでミニマムなマイナー調のギターコードとakko(vo)の「語り」のようなボーカルを中心に展開される。サビは淡々とタイトルの「New Adventure」というフレーズをなぞる非ポップなものである。
2 STARDUST

「宇宙」のような浮遊感を醸し出す音響が印象的である反面、サビではグランジ風の無機質なギターフレーズが淡々とリフレインされる曲。akko(vo)のボーカルは相変わらず「透明感の塊」であり「1 New Adventure」同様にメランコリックなこの曲と見事に絡み合っている。
3 CRAZY LOVE

90年代エレクトロニカの代表的なアーティスト「エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)」を思わせるブレイクビーツが印象的なギターロックで曲を通して「春の訪れ」のようなストリングが流れる。歌詞は「狂おしい恋の妄想」というイメージで「愛の方程式 解いてね」というフレーズは積極的なのか受け身なのかよく分からない響きである。
4 ALICE 〜album version〜

リスナーを「シュールな夢の国」に誘うキラキラ系ギターポップ。「マイナー調のギターサウンドの断片」を中心に展開されるスローな曲で歌詞は「思春期のトキメキと葛藤」を言語化したようなイメージであり「いつだって恋だけが素敵なことでしょう」という華やかさと「恋だけじゃ愛にたどり着けない」というある種の諦念が混在されている歌詞は神の域と言ってもいいレベルである。サビの歌詞の一部は「リギリッラ、リギリギラ」という風に聴こえるのだが、歌詞を見るところまさかの記号であり「*+▼☆▲△×□」「☆▼□×+▲*△ 」細部にまで相当なこだわりを感じさせる。
5 雨の音 〜album version〜

「海底」のような音響が強調されたメランコリックチューンでギターサウンドには「海の中で演奏された」ような揺らめく響きがある。ボーカルラインはサウンドに寄り添うように「沈む」ような質感である。
6 DESTINY

「Eメールからはじまるラブストーリー」で話題になったテレビドラマの主題歌としても起用された壮大なバラード。「近づくほどに遠く海のように揺れる」というラインは一筋縄ではいかない運命的な恋の難解さ見事に表している。
8 Private eyes

ディープな音響を感じさせる歪んだロックチューンでタイトルの「Private eyes」というフレーズが「メロディックな呪文」のようにリフレインされる。歌詞の内容は「成り行きではじまった性行為の後」のようなイメージで「力の抜けた体がBananaのようにベッドに這う」というラインはエロティックである。
9 ANIMAL LIFE

90年代UKギターロックテイストをシンプルに反映させた曲。歌詞は意味深なものとなっており「動物の動作」について歌われている。おそらくではあるがエロティックな内容で名曲「4 ALICE 〜album version〜」に登場するライン「恋だけじゃ愛にたどり着けない」と共通する意味があると思われる。
10 Fallin’ Blue

タイトル通り「メランコリックでブルーな音響」と「氷の世界」のような冷気を感じる曲で「自分らしくない時間」「今でもね、たまに思い出す」「あなたを探している」などのシリアスで重い歌詞が非常に印象に残る。これらのラインから考察すると深読みかもしれないが「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した主人公の「数年後のメランコリックな心情」を歌っているのでは?!と思われる。
11 Days

ミニマムなサウンドで構成されるシンプルなUKギターロック。サビは「どこまでも続く曇り空」のようなイメージだが、他の収録曲がメランコリック・テイストのものが多いという事もあり不思議な開放感を感じる。

前作「PRESENTS」同様に素晴らしいクオリティを誇るマイ・リトル・ラバー(My Little Lover)の3rdアルバム。 アルバムジャケットと共振するような「ブルーでメランコリックな音響」を全面に押し出しており「90年代UKギターロック」「透明で冷たい質感のエレクトロニカ」からの影響を凄腕プロデューサー「小林武史」が見事にポップソングに落とし込んでいる。全ての曲で言える事だがギターサウンド

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akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。

耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で「大失恋を経験した男女の数年後を描いた」ようなイメージのものが多く喪失感を全面に押し出している。悲しいkissはまだ胸にあるのにアッパーなドライブで弾ける「5 Shuffle」メランコリックな気持ちを抱え苦笑いでも前に進もうとする「8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜」喪失感と真正面から向き合う内省的な「10 YES 〜free flower〜」など。

本作は90年代の日本のポップシーンの中でも異彩を放っており、喪失感を描きつつもリスナーに前向きな光を与える素晴らしい作品となっている。

    「要点」

  • ・歌詞は「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で大失恋を経験した男女の数年後を描いたようなイメージのものが多い
  • ・サウンドがクリアにそしてディープに進化

「曲解説」

2 空の下で

「静寂の中をクリアでアンビエントな質感のアルペジオが踊るヴァース」と「ナチュラルでウォームなサビ」によって構成されるギターポップ。中盤以降は「空の下で」というフレーズにぴったりなストリングスが曲に涼しい爽やかな風を運んでくる。
3 My sweet lord

UK耽美派アーティスト・キュアー(CURE)のダークなポップソングをマイラバ流にアレンジしたような曲。akko(vo)のボーカルは脱力的なものとなっており「よく晴れた日のピクニック」のようである。歌詞に登場する「狂ったダンス」なるフレーズはUKニューウェイブを意識していると思われる。
5 Shuffle

「乗り気ではないドライブ」のような気だるさと「花束」のように華やかさが同居しているアッパーチューンで、終始ホーンセクションが曲に色彩を与えている。過去の悲しいキスを引きずり新しい季節に乗り遅れた主人公が、センチメンタルな心情を「愛とは宇宙の果てのようで」と文学的に語りつつも「涙の彼方へ行こう」と前向きなスタンスを示す歌詞が気だるくも華やかなサウンドと見事にマッチしている。
6 Naked

「深夜のオフィス街」のようなダークさと「プリズム」のような輝きを感じるサウンドがakko(vo)の歌声が持つ透明感をより引き立てている(4:40〜)エフェクトのかかった歪んだ声で歌われる「快楽のドアを叩く」というフレーズにはドキッとする。歌詞の内容はおそらくではあるが「いけない恋=不倫」をテーマにしていると思われる。
8 NOW AND THEN 〜失われた時を求めて〜

「シュールな夢の国」のようなサイケな音響がインパクト大のポップソング。歌詞は神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」で失恋を経験した主人公が数年後に「過去の重くシリアスな恋愛感情」を内省し「苦笑いでも前に進もう」と 自分を奮い立たせるようなイメージである。「地球儀を回したらいくつもの街角でいくつもの君と出会える予感がした」というラインはセンチメンタルと喪失感が同居した素晴らしいラインである。この曲のギターサウンドは最小限の手数で曲に豊かなコクを与えている。終盤は静寂の後にサイケなハードロックサウンドが展開され、これまで脇役に徹していたギターがブルージーなソロパートを披露する。最後は不規則なピアノの旋律が「夢の終わり」のように鳴り響く。
10 YES 〜free flower〜

「水に浮かぶプリズム」のような透明感を感じるミニマムなギターロック。「青くサイケに揺らめく」ギターサウンドはミニマムな手数でマキシマムな効果を出している。akko(vo)の歌声は「波紋」のように揺らめき「夏に終わった恋」を内省する。「yes」というポジティヴワードがこんなにもメランコリックに響く曲はこれまで聴いたとこがない。

akko(vo)独特の透明感のある歌声の魅力をさらに引き立てるべくサウンドがクリアにそしてディープに進化した2ndアルバム。 耽美派UKアーティストからの影響が感じられる「3 My sweet lord」や「10 YES 〜free flower〜」などは前作に収録されていた曲とは明らかに異なる質感であり、歌詞はマイラバのブレイクを決定付けた神曲「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」

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透明感溢れるakkoの歌声を全面に押し出した良質なポップソングが多数収録されているマイ・リトル・ラバー(My Little Lover) のデビューアルバム。

UKギターポップや北欧のメルヘンなポップミュージックのようなメロウネスがサウンドの特徴であり、ボーカルラインは「流れるようなメロディー」は少なめで割と淡々としたラインが多いのだが「稀に見る透明感」をもつakkoの歌声と奇跡の相性をみせ圧倒的にポップに鳴り響く。「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」のシリアスな歌詞をakko以外のボーカリストが歌った場合、良くも悪くも「暗さ」「重さ」が強調された曲となると思われる。この「他のボーカリストが歌った場合、そこまで売れないのでは?!感」はスピッツ(SPITZ)草野マサムネに通じるところがある。

    「要点」

  • ・稀に見る透明感をもつakkoの歌声
  • ・「5 Hello, Again 〜昔からある場所〜」をakko以外のボーカリストが歌った場合、良くも悪くも「暗く重たい」曲となるはず

「曲解説」

1 Magic Time

「すべてがブルーに統一された部屋」のような冷たさと「どこまでも広がる草原」のような雄大さが同居しているオープニングソングでタイトル通りにakko(vo)が「チクタク、チクタク」と時を刻む。
2 Free

早足のカッティングギターと北欧の吹奏楽器が奏でる牧歌的な音色が印象的なメロウなポップソング。歌詞の内容は「自由とは一体なんなだろう?!」という「パズルで迷路な問いかけ」をJ-POP的にアレンジしたようなイメージである
3 白いカイト (Album Version)

ドリーミーな浮遊感と「賑わう街角」のような華やかさが同居している曲でボーカルラインは派手なものではないが、akko(vo)の「透明感の塊」のような声と最高の相性をみせ一度聴くと頭にメロディーがインプットされる。「白いカイト」というワードから「地球と話」「宇宙とダンス」などのイメジネーション溢れるフレーズがサラッと閃く小林武史のセンスは秀逸としか言いようがない
5 Hello, Again 〜昔からある場所〜

スピッツ(SPITZ)の名曲「ロビンソン」と並ぶ90年代ギターポップの神曲。歌詞は「10代特有の重い恋愛感情」をテーマにしたシリアスなものとなっている。この暗く重い歌詞とakko(vo)の透明な歌声が抜群の相性をみせ奇跡のポップネスを得ている。この曲を男性ボーカリストが歌った場合、良くも悪くも「沈むような暗さ」が強調された曲となるだろう。
6 My Painting

「不思議の国」のようなメルヘンを感じる可愛いポップソング。サウンドは「歪んだギターサウンドの断片」と「優雅なストリング」を中心にシンプルに纏められている。
7 暮れゆく街で

「夏の星座」のような美しい旋律が「深夜の海」のような暗闇の中で輝くバラード。リズムアプローチは「鼓動」のように規則正しいものとなっている。歌詞はakko(vo)が担当しており過去の切ない恋愛経験を「独白」のようにシリアスに淡々と歌い上げる。
9 Man & Woman

華やかなホーンセクションをフィチャーしたポップソング。「気持ちは言葉だけでは伝わらないから積極的になれ」とリスナーに提案する歌詞はど直球ではあるが、そこに暑苦しさはなくむしろ軽やかに響く。
10 evergreen

akko(vo)の透明な声を最大限活かしたジャジーな曲でピアノの音色は「しっとり降り注ぐ雨」のようだ。終盤は「原始の宴」のようなイメージのようなコーラスが曲に異国感を与える。

透明感溢れるakkoの歌声を全面に押し出した良質なポップソングが多数収録されているマイ・リトル・ラバー(My Little Lover) のデビューアルバム。 UKギターポップや北欧のメルヘンなポップミュージックのようなメロウネスがサウンドの特徴であり、ボーカルラインは「流れるようなメロディー」は少なめで割と淡々としたラインが多いのだが「稀に見る透明感」をもつakkoの歌声と奇跡の相性をみせ圧倒的

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前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。

これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意としている80年代UK耽美ギターポップのような曲も極限までサウンドをシンプル化し歌詞の内容を最大公約数化する事でこれまでとは別次元のポップネスを感じることができる。「4 flower」「8 風にきえないで」などは90年代を代表する素晴らしいギターポップ曲と言えるだろう。

インディーズ時代からのファンの中には今作の「ポップな変化」に戸惑ったファンも多く存在するかもしれないが今作がなければダークで耽美的だが力強いポップネスが存在する傑作アルバム「HEART」は生まれなかったと断言できる為、ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel) のキャリアの中でターニングポイントと言えるアルバムとなっている。

    「要点」

  • 実力派プロデューサーを招いて制作されたアルバム
  • ポップミュージックとしての強度を劇的に高めた傑作
  • キャリアの中でターニングポイントと言えるアルバム

「曲解説」

1 Fare Well

前作「heavenly」に収録されている「4 ガラス玉」に通じるバラードからエモーショナルで壮大なメロディーを持つロックに移行するオープニングソング。初期3部作にはないタイプの熱量があり、曲を通して「卒業式」のようなセンチメンタルさと力強さがある。
2 Caress of Venus

これまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)からは考えられないカラフルなダンスビートが印象的なアッパーチューン。ノリノリのダンスチューンではあるが80年代耽美派UKギターロックのような「海辺」を連想する雰囲気を持ち、前作までのサウンドの良いところを踏襲しつつも新機軸を試みた曲と言えるだろう。
3 Round and Round

90年代グランジを意識したであろうと思われるダークでヘヴィなロックチューン。歌詞はロックな曲にピッタリの「大人に対する拒絶」を歌っているがサビのボーカルラインは弾けており、コーラスの「round in merry world♩」は非常にポップで同年代のルナシー(LUNASEA)や黒夢の曲には絶対に出てこないテイストである。このポップに対する柔軟な姿勢がラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の個性と言える。
4 flower

全てのティーンエイジャーに聴いてもらいたい胸キュン・ギターポップな名曲。男性の女々しさを全面に押し出した「起こされるのを待っているのに」という歌詞は当時斬新な響きをもっていた。サウンド的には彼らが得意とするメロウなギターポップを極限まで削ぎ落としたものとなっている。
5 “good-morning Hide”

「渦巻き」のようなベースラインが新鮮なグルーヴィーな曲。グルーヴィーではあるがハードロックやサイケのような質感はなくカラフルで軽やかなハウスミュージックのような雰囲気がある。終盤は「はしゃいだ後に感じるわずかな喪失感」のようなメランコリックなアルペジオが存在感を増す展開となる。
6 the Fourth Avenue Café

「雨音」のようなピアノとゴージャスなホーンセクションを導入した「アーバンな街角」のような質感の曲。ken(g)のギターサウンドは「4 flower」同様に最小限の手数でメロウなフレーズを奏でている。
8 風にきえないで

ポップなボーカルラインが弾けるギターポップ。サウンド的には前作「heavenly」にも通じるメランコリックさもあるが、 「答えを見つけた」かのようなアグレッシヴな演奏もありポップに突き刺さる。歌詞の内容は恋に恋する十代の爆発しそうな感情といったところだろうか。
10 Dearest Love

「光が降り注ぐ」ようなken(g)のディレイサウンドが印象的な眩しすぎるバラードでhyde(vo)のボーカルは叶わぬ願いのように儚い(1:50〜)レディオヘッド(radiohead)の名曲「creep」を参考にしたと思われる唐突なブラッシングノイズが挿入され(3:08〜)バイオリンが「むせび泣き」のような旋律を奏で曲に優雅な渋みを与える。中盤以降は壊れた質感のグランジギターが空間を切り裂きアクセントとなっている。

前作までの初期三部作のサウンドの良い部分を継承しつつもポップミュージックとしての強度を劇的に高めた名作。 これまでセルフプロデュースでアルバムを制作してきた彼らが「岡野ハジメ」や「佐久間正英」などの実力派プロデューサーを招いて作成された初めてのアルバムであるが、次作以降も「岡野ハジメ」をプロデューサーに迎えている事からメンバー的にも確実な手応えを感じたアルバムであると思われる。 ラルク アン シエ

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「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。

メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。

「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)の曲に比べてメロディーが非常に頭に残る。ラルクサウンドのキーマンであるken(g)のギターサウンドは前作のような透明で耽美的な質感ではなく、コクがある哀愁感漂うサウンドを聴かせるがやはり煌びやかで曲に豊かな色彩を与えている。

気になるのはラストに収録されている「10 The Rain Leaves a Scar」の存在でアルバム全体に流れるメランコリックな質感もありつつもダイナミックに突き刺さる勢いを感じる曲となっている。このダイナミックな勢いは次作を暗示するものなのだろうか?

    「要点」

  • 「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞
  • メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚

「曲解説」

1 Still I’m With You

後にリリースされるヒットシングル「DIVE TO BLUE」とも共通する軽やかさを持つポップソング。「空間を舞う」ようなギターワークとは対照的にベースラインはスローで「地を這う」ような質感である(2:12〜)タイトルである「Still I’m With You」というワードが「子守唄」のようにリフレインされる間奏パートを挟み、そのままギターソロに突入する。終盤はサビが何度も何度もリフレインされ、アウトロではken(g)が得意とする透明なディレイサウンドが登場して曲に彩りを与える。
2 Vivid Colors

エモい歌詞と「ライ麦畑」を連想する哀愁漂うサウンドが印象的なヒットシングル。(1:15〜 , 2:10〜 , 3:28〜)サビは知らない風景がビビッドに広がる歌詞を歌うボーカルラインと「田舎道を走るような列車」を思わせる軽やかでビビッドに歪むカッティングギターが絡む展開。前作までにはないポップネスを感じるサウンドと日本人の琴線に触れる「切なさ」「哀愁」を持つ歌詞が印象的でセンチメンタルな失恋をテーマにしていると思われる。インディーズアルバムのような密室感が嘘のように開放的な雰囲気を醸し出している。
3 and She Said

煌びやかなギターサウンドと連打されるオルガンが60年代サイケのようなロックチューン。wikiにはビートルズを意識した曲と書かれているがサウンドというより「迷いのない突き抜けたポップネス」がビートルズ的であると感じる。
4 ガラス玉

「真夏の夜の海」のような質感のセンチメンタルなバラードから「大空を羽ばたく鳥」のようなエモーショナルロックに移行するインパクト大の曲。「難解なパズル」のようなプログレ的な響きを持つつもメロディックなギターソロは、90年代ギターキッズにとってテクニカルの一つの基準にもなった名ソロである。終盤は「誰もいない海辺に静かに佇む男のつぶやき」のようなhyde(vo)のボーカルが存在を放つ。
5 Secret Signs

「黄金の宮殿」を連想する煌びやかサウンドとエロい歌詞を持つオリエンタルな質感の曲。シンセサウンドを大胆に導入しており、サビのバックではボーカルラインと「呪文」のようなシンセフレーズが並行し曲をミステリアスをしている(1:52〜)シンセによるソロパートまで飛び出す。
7 夏の憂鬱

日本人の琴線に触れる歌謡性を持つメランコリックソング。歌詞は過去の恋愛を引きずる男のナイーブな心情を歌っており、美化された過去に浸っている主人公が「もう秋が来るから」と強がって前に進もうとするが、やはりあなたを失った僕に降り注ぐ「夏の憂鬱」には抗えないという内容となっている。後に「夏の憂鬱 time to say good-bye」なるシングルがリリースされるが、筆者としてはアルバム収録されているオリジナル版「夏の憂鬱」のほうが素晴らしいと思う。
8 Cureless

キュアー(CURE)の耽美な曲をビートロックにアレンジしたような曲(0:40〜 , 1:46〜)愛し方を知らない主人公による嘆きが「交錯」のように響き、まるで「鏡の中の世界にいる」ような錯覚をおぼえる。サビの歌詞は「あなたを救いたいが傷つけてしまう」というなんとも切ない内容。
10 The Rain Leaves a Scar

ラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)が得意とする流れるような旋律を持つ耽美チューン。ザ・スミス(The Smiths)のような80年代UKギターサウンドをダイナミックに演奏したような曲で本作の中で最もストレートでアグレッシヴである。

「秋が近づく夏の海」のようなメランコリックな空気感と内省的な歌詞を持ち「ポップ」に対する挑戦を感じれられる3rdアルバム。 メランコリックではあるがポップでもあるという不思議なバランス感覚があり鳴っているサウンドは異なるがルナシー(LUNASEA)のアルバム「EDEN」に近いものがあると感じる。 「2 Vivid Colors」「7 夏の憂鬱」などには日本人の琴線に触れる歌謡性がありこれまでのラル

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