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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト
検索結果28件

カテゴリー「神作」のレビュー

前作から続く実験性を更に推し進め全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。本作で聴く事ができるエレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。

「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感・諦念を淡々と吐き出す「1 GUILTY」。

レディオヘッド(Radiohead)の神作「Kid A」からの影響をダイレクトに反映し「濃厚な幽玄さ」を醸し出している「2 静かの海」では「意味性を完全に排除している」かのような呪文風のボーカルが聴ける。

前作「TEAM ROCK」に収録されていた「永遠」同様にエレクトロニカをポップソングに見事に落とし込んでいる「4 WORLD’S END SUPERNOVA -Mix “Matuli”-」からは、知的な大学生に好まれるような洗練さを感じる事ができる。

本作「THE WORLD IS MINE」は基本的には「シリアスな作風」ではあるのだが「京都出身だけど中国に帰るってどういう事?!」と思わずツッコミたくなる「3 GO BACK TO CHINA」や強烈に青臭い「男の子と女の子」なども収録されており「シリアスだけど気難しくはない」というレアなバランスを実現させているアルバムであると言える。

    「要点」

  • ・全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。
  • ・エレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。

「曲解説」

「1 GUILTY」

ディープで「沈む」ようなアコギのコードストロークをバックに「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感と諦念を淡々と吐き出す衝撃のオープニング。中盤は強烈なドラムの連打から「目の前が白い霧に包まれる」ようなサイケなパートに突入するが、終盤はまたも「沈む」ような雰囲気の中で主人公は「自身のどうしようもなさ」を嘆く。
「2 静かの海」

レディオヘッド(Radiohead)の神作「Kid A」からの影響をダイレクトに反映させた「実験的なくるり流ポストロック」。岸田繁(vo ,g)のボーカルには「強烈に揺らめく」ような音響処理が施されており、歌詞も「意味性を排除した」ような言葉の羅列となっている。 曲は後半になるほどに「微かな光」のようなフィードバックノイズが存在感を増す展開となっている。深読みかもしれないが、このノイズは「1 GUILTY」「2 静かの海」に登場する主人公が「虚無感の中で感じた僅かな希望」なのかもしれない?!
「3 GO BACK TO CHINA」

「ポジティヴな意味で馬鹿馬鹿しいタイトル」が微笑ましく、中華音階(ノリで言ってます)を強調したギターロック。イントロではド派手は銅鑼の音も聴くこともできる。ギタリスト/大村達身が加わった事で、これまでとは異なる透明で立体感のあるギターサウンドが堪能する事ができる(1:46〜)「気が触れた」ようなぶっ飛んだギターソロはインパクト大である。
「4 WORLD’S END SUPERNOVA -Mix “Matuli”-」

オーガニックなエレクトロニカサウンドをポップソングに落とし込んだ名曲。時折現れる「光の洪水」のような煌びやかな電子音を聴くだけでも聴く価値が十分にあると思う。歌詞の内容は「音楽マニアの知的な大学生の頭の中にあるイメージを覗き込んだ」ようなイメージである。歌詞に「絶望の果て」「朝が来ない」「重ねる嘘」というネガティヴワードが頻出するが、暗いフィーリングはまるでなく「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる。
「6 アマデウス」

くるりのアルバムに1曲はマストで収録されているピアノオリエンテッドなバラード。上質でオーガニックな弦楽器の調べが岸田繁(vo ,g)のボーカルラインを優しく包み込む。
「7 ARMY」

「秘宝」のようなマニアックな輝きを放つアルペジオを中心に構成される音響派の曲。90年代の日本の音楽シーンで大きな存在感を放った ルナシー(LUNA SEA) やラルク アン シエル(L’Arc〜en〜Ciel)などのアーティストは曲の中でアルペジオを多用しサウンドに「幻想的」「耽美的」な要素を与えていたが、この曲のアルペジオは僅かではあるがV系テイストを感じる事ができる。歌詞は不気味なものとなっており「針金やおもちゃで出来た兵隊さん」をテーマにしている。
「11 THANK YOU MY GIRL」

「凝ったアレンジ」「面白い切り口のサウンド」が多い本作なかで「気持ちよくストレートにUKロックしている」曲。この「晴れ渡った青空」のような質感は「初期のくるりサウンド」を彷彿とさせる。
「12 PEARL RIVER」

自然界の音をサウンプリングしたオーガニックなサウンドと「ノスタルジーでセンチメンタルな思い出」のようなアコーディオンの音は 北欧のエレクトロニカ・アーティストmum(ムーム)を彷彿とさせる。曲の後半は「ボートを漕ぐ音」と「鳥のさえずり」「川のせせらぎ」のみで構成される。

前作から続く実験性を更に推し進め全体から「心地よいナチュラルな虚無感」を感じる事ができる神作。本作で聴く事ができるエレクトロニカ・ポストロックを通過した独自のサウンドは確実に当時の世界の最先端であったと思う。 「いっそ悪いことやってつかまってしまおうかな」「金もったら変わるんかな?!」などという身も蓋もない虚無感・諦念を淡々と吐き出す「1 GUILTY」。 レディオヘッド(Radiohead)の神

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前作「outernet」のトランス路線を更に推し進めた内容となっており神曲が複数収録されている7thアルバム。

特に10分近い大作「4 genesis of next」は小室哲哉のキャリアの中でも指折りのクオリティーであり、おそらく自信作であると思われる。 リスナーをトランス状態へと誘うサイバーでカラフルな音の洪水だけでも十分に素晴らしいが、そこにキャッチーさを+aできる点がさすが小室哲哉であると感じる。

本作は90年代のTKプロデュース全盛期以降の小室サウンドを聴いていない人、グローブ(globe)の事はよく知らないけど刺激的なダンスミュージック・電子音楽を求めている人に自信をもっておすすめできる神作となっている。

2002年頃の小室哲哉は全盛期のようなヒットに恵まれず、またビジネス的な失敗から金銭的にも枯渇感があり精神的にあまり良い状態ではなかったハズであるが、こと音楽に関してはまるで「水を得た魚状態」で自分が刺激をうけた音楽を見事にTKサウンドに反映させている。

グローブ(globe)の全盛期はヒットを連発した90年代ではなくトランスに傾倒した2000年代初頭なのでは?!

    「要点」

  • ・10分近い大作「4 genesis of next」は小室哲哉のキャリアの中でも指折りのクオリティーであり、おそらく自信作であると思われる。
  • ・グローブ(globe)の全盛期はヒットを連発した90年代ではなくトランスに傾倒した2000年代初頭なのでは?!。

「曲解説」

1 Many Classic Moments

「過去の病んでいた時期」や「なくしたもの」などを振り返りつつも「あなたにだけはそばにいて欲しい」と強く願う代表曲。流れるような華やかなサビのボーカルラインは一度聴けば頭にインプットされる類のものである。サウンド的にはうねるディープなビートが強調されたスペーシーなトランスではあるが、クラシックのような壮大さも感じる事ができる。
3 What’s the justice?

ミニマムなループと畳み掛けるビートで疾走するトランスチューンで「ミステリアスな無空間に放り込まれた」ような錯覚すら感じるヤバイ曲(3:22〜)「ジャングルに生息する鳥類の鳴き声にフェクトをかけた」ようなアシッドハウス風のフレーズが存在感を放ち、中盤以降はダンスミュージックとしての強度をさらに高める。終盤で聴く事ができるMARCのラップには「呪い」のようなダークさを感じる。
4 genesis of next

頭の中に「無数のカラフルな光が駆け巡る」アッパーなトランスチューン。強烈な眩しい光を感じる反面「不穏な影」のようなミステリアスさも感じさせる音の構成とサウンドだけでも十分に素晴らしすぎる曲なのだが、キャッチーで思わず口ずさみたくなるサビのボーカルラインも存在し「ギリギリのラインでJ-POPの体裁を保っている」。10分近い曲だが「長い」などという感情は一切湧かない神曲。おそらくではあるが、小室哲哉のキャリアの中でも指折りの自信作ではないだろうか。
5 Come Into Existence

「アンビエントなアルペジオ風フレーズ」「強烈に歪んだビート」「唐突でハードなギターリフ」「螺旋階段のようなループ」etc。「J-POPの体裁を完全に無視してキャンパスに音で絵を描いた」ようなイメージの曲となっている。最後は「光のカーテン」のような揺らめく電子音が全てを包むというプログレ的な展開となる。
6 女神

「何も起きない静かな休日」のようなイメージのピアノ・バラード。透明なベールのようなシンセサウンドは「結婚式」のようなシリアスな空気感を曲に与えている。歌詞の内容は「本当に小室哲哉が書いたものなのか?!」と疑ってしまう内容で良くも悪くもクサイ。「感動という名のプレゼント」「安らぎという名の服」華やかな世界の頂点を見て激動の人生を送った小室哲哉ですら「最終的に求めるものは普通の男となんら変わらない」という事実には不思議な感慨がある。
7 try this shoot

KEIKOのハイトーンボイスがゆったりと空を舞い、サウンドから「光のスピード」を感じるサイバーなトランスチューン。サビはKEIKOのハイトーンだけでも十分に華やかであるが、そこに「光の洪水」のようなビビッドなシンセサウンドが重なり曲は最高潮を迎える。マーク・パンサーのロボット風ボイスはどこかアシッドハウス風である。
9 Lights brought the future

「9.11」の直後に「小室哲哉の中から湧き出たシリアスな感情を音楽化した」ピアノバラード。「歌詞は忙しくストレスフルな日々の中で大事なことを忘れていた、星空が伝えたいことを心に刻んで明日へ生かしたい」という内容。

前作「outernet」のトランス路線を更に推し進めた内容となっており神曲が複数収録されている7thアルバム。 特に10分近い大作「4 genesis of next」は小室哲哉のキャリアの中でも指折りのクオリティーであり、おそらく自信作であると思われる。 リスナーをトランス状態へと誘うサイバーでカラフルな音の洪水だけでも十分に素晴らしいが、そこにキャッチーさを+aできる点がさすが小室哲哉であると

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「1 ROSIER」
ルナシー(LUNA SEA)のキャリアの中で「明確なターニングポイント」となった曲であり、これまでのルナシー(LUNA SEA)サウンドにはない「モダンなエッジ」は異色作と言っても過言ではないと思う。またこの曲はベーシストのJが「遺書」として作り上げた力作である事でも有名である。

筆者は作曲者であるJ(b)のソロアルバムも聴いた事があるが「ジャンル分けが困難であるレベルにストレートでアグレッシヴなサウンド」であるという印象をもった。おそらくROSIERも原曲の段階では「ど直球なハイエナジーロック」なのだと思われるが、そのハイエナジーロックを一癖も二癖もあるメンバー達でジャムりながらアレンジしたところ「宇宙的な開放感・浮遊感が伴うこれまで聴いた事がないスペシャルなロックチューン」となったのであろう。

サビの歌詞に出てくる「揺れて揺れて」というラインは、多感な小中高生男子のハートを一発でキャッチする神ラインである。人生の中でも最も「揺れる」のは間違いなくティーンエイジャーであるのだから当然といえば当然であろう。本作のロングヒットによりルナシー(LUNA SEA)は「ネクストブレイクの候補の一つ」から「10代に最も支持される異端なロックアーティスト」に変貌を遂げ翌95年には東京ドーム制覇まで成し遂げている。

彼等はこの勢いのまま、ロックアーティストとしてクリエイティヴの絶頂期を迎えていく事となる。既存ファンに支持され「世間に迎合する事なくナチュラルな形で膨大な新規ファンベースの開拓」に成功できた本作は「ロックアーティス」として理想的な売れ方であると筆者は思う。

「2 RAIN」
「気怠い雨雲」を思わせる音響がメランコリックな雰囲気を醸し出す隠れた名バラード。

「何と言えない混沌としたコード進行」を中心に展開され、RYUICHI(vo)のボーカルはサビ以外「地を這う」ような低音となっている。(2:38〜)「強烈なモザイクをクルクルとかき混ぜた」ようなSUGIZO(g)のノイズプレイが登場。94年の日本の音楽シーンでこのサウンドは斬新を超えた響きがある。

歌詞の内容は「くちずけた後に全てを忘れてしまうだろう」と思える程の「強烈な片思い」を連想させるものとなっており、これまでのバラードとは異なり筆者のような一般人にも情景が浮かぶ言葉がチョイスされている。

    「要点」

  • ・「1 ROSIER」・・・これまでのルナシー(LUNA SEA)サウンドにはない「モダンなエッジ」は異色作と言っても過言ではないと思う。
  • ・「2 RAIN」・・・これまでのバラードとは異なり筆者のような一般人にも情景が浮かぶ言葉がチョイスされている。

「1 ROSIER」 ルナシー(LUNA SEA)のキャリアの中で「明確なターニングポイント」となった曲であり、これまでのルナシー(LUNA SEA)サウンドにはない「モダンなエッジ」は異色作と言っても過言ではないと思う。またこの曲はベーシストのJが「遺書」として作り上げた力作である事でも有名である。 筆者は作曲者であるJ(b)のソロアルバムも聴いた事があるが「ジャンル分けが困難であるレベルにスト

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レディオヘッド(Radiohead)がアーティストとして最も脂が乗っていた時期にリリースされた傑作EP。

音楽史に残る2枚のアルバム「KID A」「Amnesiac」に収録されていない「2 Cuttooth」「4 Worrywort」「5 Fog」を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚「音楽史に残るアルバム」を作成できたのでは?!という気がして仕方がない。「アンビエントな音響」を前面に押し出しているのが本作最大の特徴であり、どこか牧歌的で夢見心地な雰囲気がある。

また「1 Knives Out」「5 Fog」で聴く事ができる鬼才ジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズはセンス抜群で「ギターロック期」と比べるとその登場回数こそ減ってはいるが「魅力をギュッとまとめた最小限の音数」で圧倒的な存在感を放っている。「5 Fog」で聴ける「ガラスの破片」のようなギターフレーズはアンビエントな曲の雰囲気を壊すことなく曲にぶっ壊れた質感を与えている。

    「要点」

  • ・本作を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚、音楽史に残るアルバムを作成できたのでは?!という気がして仕方がない。
  • ・「5 Fog」で聴ける「ガラスの破片」のようなジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズはセンス抜群でアンビエントな曲の雰囲気を壊すことなく曲にぶっ壊れた質感を与えている。

「曲解説」

1 Knives Out

「ザ・スミス(The Smiths)のメランコリックで流麗なギターポップをオーガニックな音質でアレンジした」ようなイメージの曲。ジョニー・グリーンウッド(g)が奏でる耽美でどこかノスタルジーなギターフレーズは「控えめな性格ではあるのだが、飛び抜けた美貌ゆえに目立ってしまう美少女」のようである。
2 Cuttooth

「白昼夢」のような眩しすぎる音響の中を「青春」のように早足で駆け抜ける隠れた名曲。シンプルなピアノサウンドとトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルラインを中心に構成されているシンプルな曲なのだが、そこに+aドリーミーな音響が曲に「油絵」のような揺らめきと奥深さを与えている。
4 Worrywort

ミニマムな電子音を中心に構成されている曲で「宙に浮いている」かのような浮遊感を感じる事ができる。「牧歌的な雰囲気」「ガラスを連想する透明な質感」などエイフェックス・ツイン(Aphex Twin)彷彿のアンビエントソングとなっている。
5 Fog

ノスタルジーで夢見心地な音響を前面に押し出しており「4 Worrywort」同様にアンビエントな質感な曲。「ガラスの破片」のようなジョニー・グリーンウッド(g)のギターフレーズが曲に鋭角的なエッジを与えている。曲の雰囲気を壊すことなく曲をぶっ壊せるジョニー・グリーンウッド(g)のセンスはやはり別格であると感じる。

レディオヘッド(Radiohead)がアーティストとして最も脂が乗っていた時期にリリースされた傑作EP。 音楽史に残る2枚のアルバム「KID A」「Amnesiac」に収録されていない「2 Cuttooth」「4 Worrywort」「5 Fog」を聴く限りレディオヘッド(Radiohead)はもう一枚「音楽史に残るアルバム」を作成できたのでは?!という気がして仕方がない。「アンビエントな音響」を

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音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。

「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)などの「オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト」からの影響をブルースやジャズなどの音楽と絡める事で「前衛的でありながら強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界を構築している。

コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない。本作で聴くことができるトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「虚無的でありながらもディープ」なものとなっており、ギターロック期とはまた別のベクトルで「リスナーの感性に深く突き刺さる」ものとなっている。

    「要点」

  • ・「強烈なノスタルジーと哀愁」を感じる唯一無二の音世界
  • ・コアな音楽ファンの中には「KID A」ではなく本作を「レディオヘッド(Radiohead)の最高傑作」と評価する者も少なくはない

「曲解説」

1 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box

冷たく規則正しいリズムの上で「シュールな儀式」を連想するエレクトロビートがミステリアスに鳴り響くリズムオリエンテッドなオープニングチューン。前作「KID A」同様に厳選された「エレクトロニカ以降の音響とビート」を大胆に取り入れてはいるのだが、前作より無国籍が強調されていると感じる。
2 Pyramid Song

前作「KID A」に収録されいた「How to Disappear Completely」同様に幽玄な雰囲気を醸し出しているピアノバラードで恐怖感と不気味な寒さを感じるストリングスを大胆にフィーチャーしている。歌詞の内容は「死後の世界で生前の事を追憶した」ような内容となっている。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「この世の全てに絶望している」かのように虚無的でありながらも同時に灼熱の熱さも感じさせるものとなっている。
3 Pulk/Pull Revolving Doors

「タイムマシーンにのって時空をワープする」ような雰囲気を醸し出しているマニアックなインスト。「ガラスの破片」のような鋭角的なビートと「オーガニックで牧歌的」な音響を見事に絡めており、オーガニックなエレクトロニカ・アーティスト「ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada)」 からの影響が感じられるが模倣にはならずレディオヘッド(Radiohead)らしく「ロック的なエッジ」が感じられる。
4 You and Whose Army?

「強烈なノスタルジー」を感じるオーガニックなジャズバラード。トム・ヨーク(vo ,g)のボーカルは「天国にいるおじいちゃんが子供達に優しくそしてディープに語りかける」ような質感である。
5 I Might Be Wrong

乾いたギターリフが無感情にリフレインされるギターロックで「KID A」以前のエモーショナルなサウンドではなく「冷凍庫の中にいる」ような冷たさを感じさせる。「ストイックなまでに感情を抑制する」様はドライアイスのよに冷たく熱い。
7 Morning Bell

「KID A」に収録されていた「Morning Bell」は冷たいエッジが強調されたサウンドが魅力的であったが、このAmnesiacバージョンは「恍惚」のような眩しさを感じさせるアレンジとなっている。本アルバムを構成する重要な要素である「ノスタルジー」「オーガニック」 「虚無感」「ミステリアスな熱さ」などが総動員されており収録曲の中で「最も本作を象徴している」曲なのかもしれない。
10 Like Spinning Plates

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)が発明した「極彩色のサイケデリアを無理矢理に逆回転させた」ようなトリップ必至の神曲。歌詞は難解で一度見ただけでは理解が難しい内容ではあるが、おそらく「弱い者が存在してくれるからこそ強い者が栄える」という「世のダークサイドに対して虚無感を吐き出した」ものであると思われる。
11 Life in a Glasshouse

「悟りを開いた老人のディープな嘆き」のようなトム・ヨーク(vo ,g)のボーカルが秀逸すぎるジャズバラード。枯れた渋みが強調されたトランペットの音色が、この曲に「幼少期のセンチメンタルな思い出」のような強烈なノスタルジーを与えている。

音楽史を激震させた前作「KID A」から約半年後にリリースされた神アルバム。 「KID A」同様に「エレクトロニカ以降の音楽」からの影響を前面に押し出しているのだが「KID A」で鳴らされた「氷の世界」「真っ白な空間」と形容したくなるサウンドとは異なり「オーガニックでどこかノスタルジー」な音世界が魅力的な作品となっており、ボーズ・オブ・カナダ(Boards of Canada) 、ムーム(múm)

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