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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛けるザ・プロディジー(The Prodigy)のデビューアルバム。デビューアルバム時点からすでに完成されているハイクオリティーなアッパーチューンの数々は名作「The Fat of the Land(1997年) 」にも劣らないテンションとエッジを持っており、高速のブレイクビーツがデフォルト化されているジャングルなサウンドは理屈抜きでフィジカルを刺激する。

またメロディーやアクセントとしてではなく「扇動者」のようにアグレッシヴなサンプリングボイスが印象的で多くの曲で「アニメのキャラ風のコミカルなラップ」が登場して曲にBPM以上のスピード感を与えている。

ロックとテクノのクロスオーバーで語られる事の多いザ・プロディジー(The Prodigy)だが、本作を聴く限り彼らから感じるロック感はサウンド面ではなく徹底したアグレッシヴさを貫く姿勢からきていると思われる。

    「要点」

  • 「パンク以上にパンクなテンション」でアグレッシヴに畳み掛ける
  • 高速のブレイクビーツがデフォルト化されている

「曲解説」

1 Jericho

「ヤバいモノを大量生産している工場」のような不穏さを持つアッパーチューン。ブレイクビーツは「早足で駆け抜ける」ようなBPMとなっており「ガラスの破片」のような透明な電子音が目に刺さる。「アニメ風のコミカルでアグレッシヴなラップ」がポップソングとしての強度を高めている。
2 Music Reach(1/2/3/4)

「レイヴサウンドにモザイクをかけた」ようなアッパーチューン。「1 Jericho」同様に「アニメキャラ風のコミカルなサンプリングボイス」が印象的で「ボタンのかけ違いのように微妙にタイミングがずれた」カラフルな電子音や「縮れた髪の毛」を思わせる歪んだ質感のサウンドがミニマムに響き渡る。リズムはジャングルで時代を先取りしている。
3 Wind It Up

「小室哲哉」のように手数の多いシンセフレーズが印象的な曲で、ダンスミュージックのアグレッシヴさと80年代UKギターポップのような軽やかさを持つ(1:58〜)強烈に歪んだ低音が存在感を増しアグレッシヴに攻める展開になるが(2:38〜)そこに清涼感がある「そよ風」のようなシンセフレーズが表れる。
4 Your Love

「ネオンカラー」を連想する電子音が咲き乱れるダンスチューン(1:26〜)高速ジャングルビートのバックで「真っ白」な質感のストリングスが鳴り響く(1:46〜)メタリックな音の破片が無造作に鳴り響きハイテンションな展開に移行。局面ごとに多様なサンプリングボイスが使われており、まるで「貼り絵」のようである。
5 Hyperspeed

「真っ白なキャンパスに尖ったノイジーなアイデアを全てぶちまけた」ようなバンギャルドな曲。高速ブレイクビーツで疾走する曲ではあるが「精神と時の部屋」のような神聖な音響も感じ取ることができる。女性ボーカルによるラップはまるで「扇動者」のようにアグレッシヴである。
6 Charly

「アグレッシヴでハイテンションをヒップホップを1.5倍速にしてエレクトロなビートでズタズタにした」ような曲。「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」や「子猫の鳴き声」のような可愛い音がBPM以上のスピード感を生み出す。
7 Out of Space

1曲の中に複数の曲が同居しているかのような展開を見せるアバンギャルドな曲(0:54〜)カエルが飛び跳ねるようなサウンドの登場と共に「古典的なポップス」のような哀愁感溢れるメロディーが流れるまさかの展開。そこに「ド派手なネオンカラー」を連想する電子音が絡まり、またしても「アナーキーなアニメキャラ風ラップ」が曲を引っ張る(2:26〜)氷の質感を持つ電子音がミニマムに鳴り響く展開はまるで「氷の迷宮」のようだ(3:08〜)またしても唐突に哀愁感漂うボーカルラインが登場して意表を突かれる。
10 Fire

ピアノの連打と優雅なストリングが印象的で「散らかった部屋」のような質感の曲。「ワイルドな雄叫び」のようなサンプリングボイスはとてもパンチ力があり「キャッチーな呪文」のようなラップはやはりアニメ風に響き渡る。
12 Death of the Prodigy Dancers(Live)

「ハードコアテイストのアシッドハウス」のような曲のLive音源。随所で鳴り響くホイッスル、「扇動者」のように煽るラップにはロック的な熱量があり「スライムが飛び跳ねた」ような弾力感のある低音が縦横無尽に暴れる。

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