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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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90年代における「ロック」×「テクノ」のクロスオーバーの文脈で抜群の完成度を誇る傑作3rdアルバム。 オルタナやグランジ系のアーティストの曲で聴けるようなノイジーなギターリフを思わせるフレーズなども登場、アシッドハウスやジャングルなどと共通するような開放的な雰囲気を持ちつつもロック的なダイナミズムを絶妙にサウンドに反映している。

「扇動者」のようなアグレッシヴなラップ「縮れている」ように歪む低音、アグレッシブに畳み掛けるアッパーなビートなどが本作の音楽的な特徴と言える。

また「7 Narayan」「10 Fuel My Fire」では流れるようなメロディーをもつボーカルラインをフィーチャーしており、「10 Fuel My Fire」に関してはニルヴァーナ(Nirvana)に対するザ・プロディジー(The Prodigy)からの回答のような曲であり「ロック」×「テクノ」の文脈では、色んな意味で「行き着くところまでいきついた作品」であるという印象である。

    「要点」

  • 抜群の完成度を誇る傑作3rdアルバム
  • グランジ系アーティスト彷彿のギターリフのようなサウンドも登場

「曲解説」

1 Smack My Bitch Up

リスナーを扇動するような「Change My Pitch Up!Smack My Bitch Up!」というボーカルラインがメロディックな呪文のように繰り返されるアンセム。ビートは直線的でパンチ力のものとなっており「光のウェイブ」のようにうねる電子音が「性急なギターリフ」のように畳み掛けてくる(3:02〜)「エモーショナルな祈り」のような女性ボーカルが登場し恍惚のような光に包まれる。「ロック的な縦ノリ」と「クラブミュージックの横揺れ」を完璧なバランスでミックスした名曲。
2 Breathe

アーバンなドライブ感を持つ高速アシッドハウス。この曲でも「リスナーを扇動する」ようなアグレッシヴなラップが炸裂(3:30〜)歪んだベースラインとパーカッションだけの静のパートが挿入される。全編を通してサイバーな質感を持つ電子音が空間を支配する。
3 Diesel Power

「砂嵐」のようなざらついた質感の歪んだヒップホップ。ベース音は「縮れている」ように地を這うような質感のものである。
5 Serial Thrilla

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)風のハードなギターリフをブレイクビーツと絡めたハードなファンクチューン。サビではタイトルである「Serial Thrilla」が連呼され(2:25〜)「縮れた」ような質感の電子ノイズが空気を切り刻む。終盤は全てのパートが歪みを増幅し、一層ハードなサウンドとなってリスナーの脳とフィジカルを刺激する。
6 Mindfields

ディープでどっしり重たいビートと「黄金の宮殿」のようなオリエンタルなメロディーラインが印象的なミドルテンポの曲。時折、挿入されるギターノイズは「眩しすぎる光」のような質感である。中盤以降は頭の中をカラフルに染め上げる電子音が存在感を増しファンキーな展開となる。
7 Narayan

これぞUKロックという流れるようなメロディーラインがメロウに響く曲。「透明なクリスタル」のようなシンセサウンド、「陽炎」のような熱気をもつ音響が印象的で「蒸せるような暑さ」と「氷のような冷たさ」が同居しているようなイメージである(4:40〜)クーラ・シェイカー(Kula Shaker)の曲に登場しそうな「インディオなお経」風のボーカルラインが濃厚な香りを発し、終盤はこれまで大人しくしていたビートが「サンバ」のようにダンサブルに響き渡る展開となり、最後は「メタリックな雨雲」のような不穏な音響に包まれる。
8 Firestarter

「モザイクがかかった煙」のような電子音がギターリフのように鳴らされるソリッドなアッパーチューン。「hey hey hey」という少し能天気なコーラスがシリアスな雰囲気の曲にポップな質感を与えており、リズムアプローチは「これぞ!ザ・プロディジー(The Prodigy)」という高速ブレイクビーツとなっている。中盤以降は「リスナーの脳をレンガでこする」ような質感の電子音が頻繁に登場する。
10 Fuel My Fire

「ニルヴァーナ(Nirvana)の曲を洗濯機にぶち込んだ」ような渦巻きグランジソング。「サイレン」のようなサウンドやドリーミーなオルガンサウンドなどは他の曲にはない質感であり、ボーカルの声も強烈に歪んでいるがボーカルラインはキャッチーで非常に耳に残り不思議な愉快さも感じるものとなっている。

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