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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作以上に「ロック的な直線さと過激さ」が全面に出ている2ndアルバム。「5 Setting Sun」ではノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎えオアシス(Oasis)自身が3rdアルバムで表現したかったのでは?と思われる「壊れた質感の極彩色サイケサウンド」が炸裂。

本作は「ロック」と「テクノ」がガッチリと手を組み合い条約が成立したような記念碑的なアルバム。「ロック的な直線的ビートを持つ90年代テクノサウンド」といえば本作と「The Fat of the Land / ザ・プロディジー(The Prodigy)」が代表作に挙げられる。この2枚のアルバムは共に97年にリリースされ「普段あまり電子音楽を聴かないロックファン」からも支持を集めビッグセールスを記録した。3rd以降もケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)はこの「ロック路線」を突き進むのだろうか?気になるところである。

    「要点」

  • ロック的な直線的ビートを持つ90年代テクノサウンド
  • 「5 Setting Sun」はノエル・ギャラガー(オアシス(Oasis)をゲストボーカリスに迎えている

「曲解説」

1 Block Rockin’ Beats

「同じところをクルクルと回る」ような分厚くミニマムなベースラインとロック的なタイトなビートが印象的なヒットチューン (1:22〜)「火炎放射」のように焼き尽くす直線的で歪んだシンセサウンド(1:42〜)侵入者を感知して鳴らされるセンサーを歪ませたような音(3:00〜)「激しい豪雨」のように連打されるビートなどがUSミクスチャー勢にも通じるロック的なストリート感を演出している(2:42〜)連打されるタイトなビートと共に鳴らされる電子音は「迫り来る影」のようにダークである。曲中を通してメロディックなパートは存在しないがキャッチーで一度聴くと耳に残るパンチ力がある。
2 Dig Your Own Hole

「黒い蛇」のようにうねるディープなベースラインが印象的なアッパーチューン。冒頭は「コンクリの上にある水面に反射する光」のような眩しい電子で幕をあけるが、すぐにストリート感のあるBPM早めのアッパーな展開に移行。この曲でも直線的なブレイクビーツは健在でリスナーの脳にダイレクトに突き刺さる(2:15〜)「スローな竜巻」のような風を切るサウンドが少しシューゼイザー風(2:30〜)「ラップの断片」のようなボイスがファンキーなテイストを加え、間奏部では「UFOが着陸した」ような少し不気味な音が鳴り響く。この間奏部の存在があるので終盤はビートがこれまで以上に直線的にリスナーの脳裏に突き刺さる。
4 piku

「浅い夢の中にいる」ような幻想感を持つビート・オリエンテッドチューン。「ラップの断片」や「アンビエントな美音響」などをサンプリングし音遊びしている趣の曲である。
5 Setting Sun

「どこまでも追いかけてくる追跡ビーム」のようなアシッドなシンセサウンドが鳴り響くファンキーなサイケデリックソング。「カラフルな蝶々の大群」を思わせる「アヤヤ〜、アヤヤ〜」は名コーラスでリスナーの頭の中を極彩色に染め上げる。反面、本曲のビートは「ロック以上にロック的」でゲストボーカルで歌っているノエルギャラガーの「尻を蹴り上げる」ようなパンチ力があり、オアシス(OASIS)が97年発表したBe Here Nowで表現したかったと思われるハードでサイケなサウンドをテクノ化したようなイメージである。
6 It Doesn’t Matter

「大量のエラーを吐き出すバグったコンピューター」のような曲。無機質な人造人間風ボイスで無限ループされる「Doesn’t Matter」というフレーズや 「壊れそうな旧式エアコン」のような空気感がアングラな雰囲気を醸し出している(5:15〜)「ロボット風ボイスを千切りにした」ようなサウンドと「バグり果てた」ようなカラフルなシンセサウンドが展開される。
8 Get Up On It Like This

ゴージャスなホーンセクションとソニックなDJスクラッチの対比が印象的な曲(1:50〜)ビートが強度を増し複数のリズムアプローチが順番に展開され、終盤は「赤ちゃんの泣き声」のように聴こえる「キャー、キャー」というアグレッシブなサウンドがリフレインされる。
9 Lost In the K Hole

「真夏の夜に見た夢」のようなドリーミーなサウンドレイヤーが幻想的な曲。ビートは「電子チップ」のようにミニマムでカチッとした音色、ベースラインはリフといっていいものになっておりドリーミーな雰囲気の曲に熱量を与えている。最後は「全てが時の砂に消える」ような儚なさを感じる音響で締めくくられる。
11 The Private Psychedelic Reel

「夜の砂漠」のようなオリエンタルな雰囲気を持つハードチューン。甲高い電子ノイズが「鳥類の泣き声」のようにリスナーの鼓膜に絡みつき「ジェット機」のような音や「蛇使いが吹く笛」ような音などが空間を自由に踊る。中盤以降はミニマムミュージックのように「メタリックなドアノブを回すような音」がループされ陶酔感を感じるサウンドが展開され、ビートはハードロック的とも言っていい位にワイルドでパワフルである。最後はカラフルな音が「洪水」のように次々に溢れ出し最高潮のところで曲が終わる。

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