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live at the indoor
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ほとんど全ての曲に感じる宇宙的な質感が特徴のケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)の4thアルバムCome With Us。前作「Surrender」に存在していたサイケデリックサウンドを更に強烈にしたようなイメージの作品であり「ネオンカラー」「ビッグバン」などを連想するサウンドがリスナーの脳にダイレクトに突き刺さり様々な情景を呼び起こす。

またビートは宇宙的なサイケデリックサウンドが強調されるようにディープでシンプルなものが多くなっている。突如「異空間に放り込まれる」ようなプログレ的展開も本作の特徴の一つであり新機軸といえる。

このプログレ的展開と「10 The Test」で聴けるポップな歌のメロディーが次回作以降にどのように反映されるのか?大変興味がある。

    「要点」

  • 宇宙的なサイケデリックサウンド
  • 「異空間に放り込まれる」ようなプログレ的展開

「曲解説」

1 Come With Us

「光がうねる」ような強烈な電子音や瞬間移動風のワープ音、緊迫感漂うアシッドなストリングス風のシンセサウンドが無条件に宇宙を連想するスペーシーなオープニングチューン(2:36〜)「全てが宇宙に吸い込まれる」ような音が頭の中で高速ループされ、その後は「ビッグバン」のようにパワフルなドラムが連打される。
2 It Began In Afrika

アフリカンなパーカッションをフィーチャーしたスペーシーなアッパーチューン。「揺らめく光」のようなシンセサウンドが「1 Come With Us」同様に宇宙を連想させ、不規則かつ自由自在に鳴り響くアフリカンなビートの粒が「原子の宴」のような祝祭性を演出する。終盤はサンプリングされたファンキーな女性ボーカルだけが宇宙的な無の空間の中で響き渡る。
3 Galaxy Bounce

アシッドハウス的なスライムビートが大暴れする「ジェル」のような質感の曲(2:02〜)「どこでもドアを使い深夜のクラブから灼熱の砂漠に移動した」ような展開がプログレ的で恍惚すら感じる眩しすぎる光に包まれる。終盤はサンプリングされた女性ボーカルの歌声をDJスクラッチで切り刻むようなサウンドが展開される。
4 Star Guitar

「ネオンカラー」を連想するビートの粒が印象的で宇宙的な無重力感を感じるサウンド(3:00〜)「60年代の良質なポップスを宇宙的にエディットした」ようなプログレ的な展開を見せ、以降はその雰囲気を「極彩色なビーム」のようなエレクトロサウンドが彩り、いつの間にか元の宇宙的なサウンドに戻る。 終盤はネオンカラーのサウンドがシャワーのように降り注ぐエレクトロな展開で、最後は「小さな星が消滅した」ような音で幕を閉じる。
5 Hoops

「ガラス越しに映るエジプトの砂漠」のような雰囲気を持つ曲。序盤は「酩酊」のような気怠いサイケサウンドが展開されるが(1:35〜)BPM速めのスペーシーなアシッドハウスサウンドに切り替わり、アシッドハウスを象徴する「動物の鳴き声にエフェクトをかけたような歪みサウンド」も登場する。終盤はオリエンタルな質感のサウンドが絡まり「蜃気楼」のように揺らめく。
6 My Elastic Eye

「強烈に歪んだ異空間にいる」ような錯覚を覚える曲で、「氷柱」を連想する透明感のあるビートや「RPGゲームの魔法」のような音が踊る。
9 Pioneer Skies

極彩色なビートや音響が脳内を駆け巡るサイケソング。シンプルな四つ打ちと共に「2 It Began In Afrika」でも聴けたアフリカンなパーカッションサウンドが鳴り響く(1:55〜)「時空が歪んだ」ようなサウンドがリスナーの脳みそをグチャグチャにする。終盤は宇宙的な静けさとディープさを感じるサウンドが展開される。
10 The Test

「クーラ・シェイカー(Kula Shaker)の曲をアシッドハウスにアレンジした」ようなイメージの曲で「ガラス」のような質感のファンクギターと立体的なベースラインが非常に耳に残る(3:54〜)中間部で連呼されるコーラスは「レディオヘッド(radiohead)」と聴こえなくもない。本作のほとんどの曲に存在する宇宙的な雰囲気を持ちつつも「つい口ずさみたくなるメロディー」をもつこのラストソングは異彩を放っている。

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