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live at the indoor
音楽作品(アルバム/シングル)を「普通」「良作」「名作」「傑作」「神作」に分ける音楽レビューサイト

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前作「KOMEGUNY」同様に素晴らしいクリエイティビリティーを発揮している傑作アルバムとなっており、アルバムタイトルにもある通り「FUNK 」に急接近したサウンドを聴かせてくれる。

「日常の何気ない出来事や思いをポップソングに変換する」カールスモーキー石井のセンスは天性のものだが、それと同レベルで強烈な存在感を放つのがジェームス小野田の日本人離れしたファンキズムである。本作に感じる「シュールな祝祭性」はジェームス小野田の存在なくしてあり得ないだろう。前作「KOMEGUNY」でも感じた事だが米米CLUBというアーティストは常に新しい音楽を吸収しており「世界の先端と同じタイム感で進んでいる前衛性」があると感じる。「2 美熱少年」におけるジャングルにいるような雰囲気はアシッドハウスのようだし「10 FLANKIE, GET AWAY!」に関しては90年代グランジロックと共通するヨレた質感すらあり驚愕である。

今作は電子音をあまり使わず「アナログで良質な音」を中心に構成され「見事な米米流FUNK」を鳴らしており特に不思議なタイム感をもつパワフルなドラムプレイは秀逸でドシドシと脳と体に響き渡る。

    「要点」

  • ・ジェームス小野田の日本人離れしたファンキズム
  • ・世界の先端と同じタイム感で進んでいる前衛性
  • ・「10 FLANKIE, GET AWAY!」は90年代グランジロックのようだ

「曲解説」

2 美熱少年 

ポジティヴな意味で80年代なセンスのタイトルが微笑ましい曲で「悪ふざけのようなファンキズム」と「無国籍な祝祭性」が圧倒的な個性を放っている。80年代末は海外でハウスミュージックに影響を受けたポップ・ロックミュージックが隆盛を極めたが、この曲は「米米CLUBからのハウスミュージックに対する回答」なのだろうか?!四つ打ちのリズムアプローチではないが「ジャングルの中にいる」ような雰囲気や「鳥の鳴き声を連想する狂ったシャウト」はアシッドハウスのエッセンスを感じる。
3 KOME KOME WAR

「氷」のような質感のクリーンなギターサウンドが清涼感を演出するファンキーなギターポップ。意味なんてある訳がない「KOME KOME WAR」を連呼する歌詞はインパクト大(2:42〜)トロピカルでド派手なギターソロが響き渡り、そこから「裏サビ」のようなボーカルラインが登場する。終盤は「攻めて」「やめて」というワードを連呼するミステリアスな展開。
4 SEXY POWER

パワフルなドラムとジャジーなホーンセクションを中心に構成されるシンプルなポップソング。時折挿入される不規則なパーカッションがダンサブルな要素を曲に与えており(2:15〜)突如「夏のビーチにワープした」ような静のパートが登場しアクセントとなっている。
5 BEE BE BEAT

「ミニマムの極み」のようなギターフレーズが「記号」のように響き渡るフリーなファンクソング。「浅い夢」のような浮遊感とカラフルさを感じるサウンドに乗せて歌われるカールスモーキー石井のボーカルは「獣的な狂気」を感じるもので素晴らしいの一言である(1:23〜)「茶番劇の終焉」のような質感のホーンの音色が登場する。
6 あ! あぶない!

ゴージャスで耽美なテイストのダークなファンクソング。「マニアックで良質なbar」のような質感のカッティングギターと「不思議なタイム感」をもつパワフルなフドラムが曲を引っ張る。またジェームス小野田(vo)の叫び声は何者にも縛られないアナーキーな質感で圧倒的な存在感を放つ。
8 TIME STOP

「深く思考を巡らせる」ような質感のジャズバラード。歌詞の内容は珍しく?!ナルシスティックなものとなっており熱く燃え上がる2人だけのパーティーを歌っている。
9 なんですか これは

「なんですか これは」というワードを呪文のように繰り返すリズムオリエンテッドな曲。この曲でも不思議なタイム感をもつパワフルなドラムが圧倒的な存在感を放っている(2:25〜)「アブノーマルな密室」のような雰囲気をもつパートが挿入される。その後は強烈なドラムの連打と共に更にファンキーになったサウンドが響き渡る。最後は「聖者が空を飛ぶ、しゅぴぴーん」なるシュールワードで幕を閉じる。
10 FLANKIE, GET AWAY!

ルーズなギターサウンドが印象的な曲でサビでのカールスモーキー石井(vo)の歌声はロック的なエッジを感じるしゃがれ声となっている。ボーカルの歌声、サウンド共にヨレた質感があり90年代前半にUSで大爆発したグランジに近い響きがある。
12 いつのまにか

ピアノを中心に構成されるシンプルなバラード。詞の世界はミニマムな言葉で形成されているが様々な想像が可能なものとなっている。筆者個人としては「空気のような夫婦関係」のことを歌っているのでは?!と感じた。
13 宴(MOONLIGHT MARCH)

「能天気でハイテンションなクイズ番組」のような曲で僅か50秒で終わる。
15 MY SWEET SWEET SHOW TIME

「雨の都会」のような雰囲気を醸し出すセンチメンタルなソウルバラード(0:50〜)「濃厚なブラックコーヒー」のようなジェームス小野田のソウルフルな歌声は素晴らしいの一言。

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